なでしこのニューフェイスは非エリート。22歳の異色のゴールゲッター (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 池尻は第2戦の中国戦では、右サイドハーフでスタメンを勝ち取った。前半途中からはフィジカルで体を張れる池尻がトップに、岩渕がトップ下になり、中盤で長谷川唯(日テレ・ベレーザ)がスライドしながら攻撃を組み立てた。なでしこらしい流動にも違和感なく対応した。

 ビッグチャンスが訪れたのは78分、清水梨紗(日テレ・ベレーザ)のフィードを田中美南(日テレ・ベレーザ)が潰されながらも落とす。反応した池尻の左足シュートは無情にも枠を外れていく。タイミングは文句なし。池尻は悔しそうな表情を隠すことなく天を仰いだ。

「ホント決めたかった。めっちゃ悔しいです」(池尻)。自分の形に持ち込めていたからこその悔しさだろう。一緒に攻撃を組み立てた長谷川も「茉由は競れるし、強さもあるのでひとつ前(のポジション)に入ってもらったことで起点が作れた」と池尻の強みを最大限に生かしていた。

「決定力」はなでしこジャパンが克服すべき課題である。間違いなくワールドカップベスト16敗退の原因のひとつだ。各国が集大成として臨むオリンピックでは、アジアとは比べ物にならない程のスピードと圧のなか、一瞬のチャンスを逃してはならない。

 苦しい展開で、チームを救うゴールを決めることができるかどうか。池尻が自らの勝負強さをアピールできれば、ここから一気に18名入りという可能性も十分にある。粗削りの荒々しさは強さの証拠。なでしこジャパンに「異色のゴールゲッター」が定着するのも近いかもしれない。

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