森保ジャパン選手選考への疑問。
なぜDFが6人しかいないのか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 4バックのサイドハーフは、その下にSBが構えるため、そこまで大外に張り出さなくてもなんとかなるかもしれないが、それでも先のベネズエラ戦で4-2-3-1の3の左を任された井手口には難しい要求だった。

 3バックのウイングバックが特殊な職種であることは事実。誰にでもこなせるポジションではない。4バックのSBもしかり。言ってみれば職人芸だ。守備的MFとSBを両方こなす選手として知られるのは永木亮太(鹿島アントラーズ)だ。そういうJリーグで多機能性を発揮している選手が、代表メンバーの中に多数含まれているなら、納得できるのだが。

 選手に多機能性を求める監督として知られるフース・ヒディンクは、筆者の取材に、「招集したすべての代表選手に、どのポジションで起用しようと考えているか、そのすべての可能性を集合する前に伝えていた」と述べていた。「代表の合宿期間は短いので、合宿に入って即テストができるように、心の準備だけでもあらかじめさせておいた」のだそうだ。

 森保監督は「短い時間ですが、可能性を探りながらやっていきたい」と言うが、それでチームを機能させることができるのですかと聞き返したくなる。そしてそれは、サイド攻撃への認識の甘さから出てくる言葉にも聞こえた。

 繰り返すが、選んだSBはわずか3人だ。重労働を課せられるウイングバックとして使われる可能性もあるのに、である。連係、連動を呪文のように唱える森保監督。しかし、そのイロハのイである、SBと4-2-3-1の3の両サイドとの連係、連動がうまくいった試しがない。両者はたいてい孤立気味だ。「3バックも4バックも原理原則は同じ」も森保監督の常套句だが、そこにたいしたこだわりがあるようには見えない。

 中盤の選手をあまりにも多く選んでしまった今回。はたして使い回しはうまくいくのか。監督自らが設定した条件のなかでそれを実現させるのは、ものすごく難しい話になるだろう。実際、日本代表はピッチにどのような姿を描くのか。E-1サッカー選手権2019に、とくと目を凝らしたい。

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