2019.12.04

ベレーザがアジア王座獲得。なでしこジャパンに与えるプラスの影響は

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 交代することなく引き続きピッチに立った後藤は果敢にドリブルで攻め上がり、守備でも体を張って相手を捕らえて奮闘した。

 各試合で若手が見せる大奮闘に、「ああいう姿を見せられると刺激になる」(有吉佐織)、「自分がメニーナだった頃では考えられない」(田中)、「メニーナはこういうことができる。今後が楽しみ」(長谷川)と主力選手たちも大絶賛だった。

 これらの若手選手たちはU-19女子代表の主力でもある。11月はじめにAFC U-19女子選手権で優勝という形でワールドカップ行きを決めたばかりの選手たちだ。アジアのトップレベルのクラブチームとの真剣勝負で、新たな経験を積み、大会中にもプレーの幅は大きく広がった。経験豊富な選手たちで構成された今のベレーザは、大きく崩れることがない。だからこそ立つことができたアジアの頂点だった。それでも、すべてを出し切ったとは思えない。

 そのことは、永田監督の次の言葉が象徴している。

「手応えというものはとくにはない。今までしてきたことを1プレー1プレー出したかった。若い選手が出ても新しいものが見つけられるように、質の高くなるチャレンジができるようにしただけです」

 初めての国際大会でも永田監督は通常運転。常に”世界”を意識して彼女たちは研鑽を積んできた。今回のような急な参戦であっても、ベレーザの準備は整っていた。参加チーム中、ベレーザが頭ひとつ抜けていたのはこうした世界基準のメンタリティが備わっていたことも大きい。

 パイロット版のAFC大会が開かれたということは、この先にはFIFAのクラブワールドカップという道が開きつつあるということ。そこには熊谷紗希が所属する誰もが認める世界最強のチームであるフランスのオリンピック・リヨンの存在がある。

「今のベレーザではリヨンとやるにはまだまだ力が足りない」と田中が言うように、リヨンの名が挙がるほど世界を現実的なものとして捉えていることがわかる。

 なでしこジャパンとして戦う目線と、ベレーザとして海外チームと対戦する目線は異なる。しかし、その双方からの視野が合わされば、これまでとは一味違う世界が広がるはずだ。今大会でベレーザが得た実感は、今後のベレーザ、メニーナのみならず、なでしこジャパンやU-19女子代表にとっても、大きな財産になるに違いない。

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