日本代表の選手層を厚くするために、強化試合をどのように戦うべきか

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

福田正博 フットボール原論
■11月のベネズエラ戦で惨敗した日本代表。公式戦ではない親善試合とはいえ、多くの課題が浮き彫りとなった。この結果を、どのように糧にしていけばいいのか。元日本代表の福田正博氏が今回の敗戦を振り返る。

11月のベネズエラ戦大敗した日本代表11月のベネズエラ戦大敗した日本代表 11月のベネズエラ代表戦で日本代表は1-4で惨敗。W杯アジア2次予選で格下との対戦が続いていたこともあって、『勝って当たり前』という空気感もあったなか、目を覚まさせる結果になった。

 この試合、日本代表は新戦力発掘を目的にしたメンバー構成で挑んだが、大迫勇也や南野拓実、吉田麻也なども含めた現時点でのフルメンバーで戦っても勝てたかどうか。それほどベネズエラ代表は実力のあるいいチームだった。

 W杯ロシア大会でコロンビア代表に勝利したとはいえ、日本はもともと南米勢を苦手にしていて、過去のW杯通算では1勝1分け3敗。ただ、日本で開催する強化試合で対戦する時の南米勢は、飛車角落ちのメンバー構成だったり、コンディション面で調整不足だったりするケースもあるため、そうしたときは日本が勝つこともあった。

 そのため実力差が見えにくい部分もあるが、今回のベネズエラ代表はベストメンバーで、かつ万全の体調で対戦してくれた。私自身、結果にも内容にも満足していないが、本気の彼らの試合運びや球際での強さ、ボールを奪われないための体の向きの作り方などを体験できたことは、日本代表にとって大きな糧になったはずだ。

 日本代表は基本的に4-2-3-1だが、これは1トップでボールをおさめられる大迫勇也のような選手がいて初めて機能する。ここは、W杯アジア2次予選のような格下相手なら目立たない問題だが、相手のレベルが上がるとやはり苦しくなる。その対策を講じる目的もあって、森保一監督はベネズエラ戦で4-4-2の布陣を選び、2トップに鈴木武蔵と浅野拓磨を起用したのだろう。

 CBにはW杯アジア2次予選のタジキスタン戦、キルギスタン戦でスタメン出場した植田直通と、そのパートナーに畠中槙之輔を据えた。とくに植田には、吉田麻也と冨安健洋に次ぐ存在になってほしいという期待があったはずだ。

 しかし、ベネズエラ戦は攻撃面、守備面で新たに起用された選手が、期待されたようなパフォーマンスを披露したとは言えない。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る