日本代表が格下相手でもアウェーで苦戦するのはなぜなのか? (4ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 なかでも権田のパフォーマンスはすばらしかった。所属クラブのポルティモネンセで試合に出場していなくても、コンディションを整えられることに感服するしかない。彼がオーバートレーニング症候群でサッカーのできない日々を過ごした苦労が、経験となって生きているのかもしれない。いずれにしろ、権田の安定感が日本代表を無失点に導いているのは間違いない。

 W杯アジア2次予選の4試合を振り返って、森保ジャパンから感じるのは、チームに躍動感があることだ。

 2018年9月に船出した森保体制は、「世代間の融合」をしながら、それまでの常連組からメンバーを変えた。南野拓実、中島翔哉、堂安律の攻撃的ポジションの3選手をはじめ、各ポジションでW杯未経験のフレッシュな選手たちが、W杯出場という最大の目標に向けて、どんな相手であっても常に全力で戦いに臨んでいる。それが躍動感につながっている。

 ただし、こうした躍動感は、選手を固定していると失われやすいものだ。ザッケローニ元監督がメンバーを固定したことで成熟したチームをつくりあげる一方で、マンネリ化を招いて停滞してしまったケースもある。

 森保監督は、目先の結果だけを追うのであれば、メンバーを固定して戦っていけば、計算が立つことは理解しているはずだ。しかし同時に、日本代表の選手層をもっと厚みのあるものにする必要もある。そのためにも、「W杯に出場したい」という野心ある若い選手たちを起用することで、チームをつねにフレッシュな状態に保つようにマネジメントしているのだ。

 勝ち点3という結果が求められるW杯アジア2次予選を戦い、起用できる選手に限りがあるなかでも、森保監督はチームのポテンシャルを最大限引き出そうとしてきた。

 今後、日本代表は12月に中国代表、韓国代表、香港代表と争うE-1選手権に臨む。この大会には国内組だけで臨むことになるはずだが、森保監督は来年3月から再開されるW杯アジア2次予選に向けて、日本代表の各ポジションに新たな刺激を与える存在を見出そうとするはずだ。その期待に応え、どんな選手がアピールするのか。いまから楽しみにしている。

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