苦戦続きの森保Jで、スペイン人指導者が高評価した2人のアタッカー

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

「伊東純也(ゲンク)、原口元気(ハノーファー)の両サイドは、コンビネーションを使った攻撃が乏しかった。ただ帰陣は早く、守備ではいいポジションを取って、チームに貢献していた」

 スペイン人指導者のミケル・エチャリ(73歳)は、日本代表のW杯アジア2次予選キルギス戦を総括した際、そう語っている。良し悪しをはっきりとさせながら、その両面を分析できるところが、彼らしい。エチャリのスカウティング能力は高い評価を受けている。ホセバ・エチェベリア、ハビエル・デ・ペドロ、シャビ・アロンソら、スペイン代表となった選手たちにも影響を与えてきた。

「柴崎岳(デポルティーボ・ラ・コルーニャ)は、中盤でボールをものにできない場面が多かった。そのせいで、チーム全体のバランスが崩れた。ただ、一度はボールを持って攻め上がり、果敢にシュートを放っている」

 エチャリは、各選手のプレーを極端に肯定も否定もしない。

 キルギス戦は0-2で勝利したものの、どう見ても低調な試合だった。攻守の両輪がまるでかみ合っていない。セカンドボールを拾えず、軽率なカウンターも浴びた。しかし、そういう試合でも、エチャリは必ずよかった面も取り上げる。それは長くスカウティングの仕事もしてきたからだという。すべて肯定したり、すべて否定することを、プロフェッショナルとして危険であると承知しているからだ。

 大敗に終わったベネズエラ戦についても、エチャリは細部にこだわった指摘をしている。

ベネズエラの選手に囲まれる中島翔哉ベネズエラの選手に囲まれる中島翔哉「川島永嗣(ストラスブール)は終始、気難しい顔になっていた。いい時の彼の表情ではない」

「室屋成(FC東京)は守りに回った時間帯に苦しんでいた。相手の左サイドバック、ロベルト・ロサレスが高い位置をとったことで守勢に回ってしまった。しかし後半、日本が前から仕掛け、ボールを持てるようになると、右サイドから何度か効果的な攻め上がりを見せた」

「柴崎は技術的にはすばらしい。しかし、戦術的には試合の中で不具合を解消することができず、(失点シーンでは)自陣で攻め上がるところでボールを奪われるというミスを犯してしまった」

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