森保ジャパンの歯車が狂い始めた。データが示すベネズエラ戦の失敗 (5ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 準備不足と言えばそれまでだが、4-4-2の布陣を採用するなかで4-2-2-2的に変形した弊害は、攻守両面にわたって悪影響を及ぼしたのは間違いない。それをどこまで問題視したのかは不明だが、少なくとも森保監督は後半開始から急きょ4-2-3-1に布陣を変更して応急処置を施している。

 それによって大きく変化したのが、サイド攻撃だった。1トップ下の中島が中央に固定され、右ウイングに入った古橋と左に移った原口がサイドエリアでプレーする時間が増えたことにより、後半のクロス本数は9本を記録。69分には、永井のクロスから山口蛍がネットを揺らした。

 ちなみに、後半の15分刻みのボール支配率は31.9%、48.3%、58.1%と推移。ただ、これは後半立ち上がりから、ベネズエラがゲームをコントロールのためのパス回しをしたことと、65分に投入された永井が前線で激しくプレッシャーをかけたことで、相手がボールを蹴り始めたのが影響した。

 いずれにしても、0-4となった時点で勝負が決したため、後半で見えた現象にそれほど多くの意味はないだろう。後半からのシステム変更は手遅れの采配と言われて当然だ。

 注目は、今後の森保ジャパンの行方である。

 試合後、この惨敗劇が及ぼすチーム強化の長期的プランへの影響を問われた森保監督は、「プランに影響はないと思います」と明言した。しかし先月のタジキスタン戦、今月のキルギス戦とベネズエラ戦の試合内容を冷静に分析すれば、チームの歯車が狂い始めていることは火を見るより明らかなはず。

 東京五輪で金メダルを目指すチームと、2020年W杯でベスト8以上を目指すチームと、二足のわらじを履く指揮官に突き付けられた課題は山積する。

 この苦境をどのように乗り越えるつもりなのか。その采配ぶりも含めて、今後の森保監督の仕事ぶりに対してはより厳しい目が向けられる。

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