U-22代表を上回る酷い試合で、後半の反撃を称える森保監督にあ然 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「僕はブラジル戦の残り15分が、今大会で一番おもしろくなかった。0-3になってから、(自分たちらしい攻撃を)イケイケドンドンでやれたけど、あれを緊迫したなかでやれないと」

 そして、0-3になってからの反撃を、「お兄ちゃんにケンカで負けそうになった小さな子が、泣きながら腕を振り回すようなもの」と表現した。

 翻(ひるがえ)って、ベネズエラとの親善試合に1-4で敗れたA代表である。

 とにもかくにも、前半の日本は酷かった。2日前に行なわれたU-22日本代表がコロンビアに0-2で敗れた試合も、これ以上ないほど酷い試合だと思って見ていたが、それを上回る酷さだった。

 前半にして4点を失うショッキングな展開に、守備が崩壊という印象を受けるかもしれないが、元をたどれば、日本のピンチの多くが、自らのイージーなパスミスから引き起こされたものである。あれだけ悪い形でボールを失えば、そこからすぐに守備を整えるのは難しい。

 しかも、日本はさらなる失点はしたくないという焦りから、簡単に相手ボールに飛び込んではかわされ、自ら守備のバランスを崩してしまう悪循環。失点するにしても、できることなら1失点、せめて2失点したところで、ひとまずゲームを落ち着かせたいところだった。そうでなければ、前半で試合が壊れてしまう。

 ところが、日本の選手たちは冷静さを欠き、パニックに陥ったかのようにミスを重ね、2点目から4点目までわずか10分足らずで立て続けに3失点。むしろ、事態を悪化させる結果となった。

 前半で4点も失ってしまえば、勝負あり、である。

 たしかに、後半の日本は持ち直した。トップにFW永井謙佑が入り、プレッシングが強化されたうえ、中盤にはボール奪取能力の高いMF山口蛍が配置され、前線と中盤のバランスは各段によくなった。ベネズエラのラファエル・ドゥダメル監督も、「ロングボールを蹴るしかなくなかった」と話すとおりである。

 日本は山口のゴールで1点を返し、その他にもいくつかの際どいチャンスを作ってはいる。

 だが、前半にして、すでに勝負は決していたことを忘れてはならない。ドゥダメル監督が語る。

「後半も真剣に、同じインテンシティを保ち、失点ゼロで戦うつもりだったが、(前半の)45分で4-0になれば、自然と緊張のレベルは下がってくるものだ」

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