浅野拓磨、惨敗の中から光明を探り当てる「自分の未来を変えていく」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 プレスをかけに行っても取り切れない。あるいは、パスミスを繰り返してショートカウンターを浴びる。ほとんどぶっつけ本番で臨んだ急造チームのような編成では、連動性を望むことは難しかったとはいえ、あまりにも組織性に欠けた戦いぶりこそが最大の敗因だろう。

 一方で浅野が、もうひとつのテーマに掲げたのは、ボールを受けたあとのプレーだ。

「抜け出しに関しては僕の持ち味でもありますし、タイミングが合えばどんどんそのプレーは出していこうと思っていました。ただ、抜け出したあとのプレーというのは、もっともっとクオリティを上げていかなければいけない。トラップの質であったり、最悪でもシュートまで行くというのは、今の僕の課題かなと思います」

 たしかにチャンスはあった。鋭い飛び出しでラインの裏を突き、ゴールに迫る機会を何度か迎えている。

 しかし、いずれも相手DFに対応され、シュートには持ち込めなかった。わずかなミスも逃さないベネズエラ守備陣を、浅野はかいくぐることができなかったのだ。せっかくのスピードを生かすには、最後のクオリティの向上がテーマであり、浅野がひと皮むけるために求められるポイントとなるだろう。

 この日の浅野は、前半は鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌)と2トップを形成し、後半は中島を背後に置いた1トップとしてプレーしている。よりのびのびとプレーできていたのは、後者だろう。2トップ時では、同タイプの鈴木と動き出しのタイミングがかぶる場面があり、やや窮屈そうにプレーしているように見えた。

 一方で後半、日本がペースを奪い返せたのは、ベネズエラのトーンダウンももちろんあったが、このポジション変更も無関係ではないだろう。浅野は自身のタイミングで飛び出してボールを引き出し、あるいは潰れ役となって中島のプレースペースを生み出す。その関係性は、この試合で見えた数少ない光明だった。

 つまり、浅野が今後ポジションを争うべきは、トップ下タイプの南野ではなく、CFの大迫勇也(ブレーメン)となる。

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