堂安、久保が入ってもコロンビアに完敗。だが、問題は選手ではない (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 森保監督はその5分後、メンバー交代とともに布陣を変更した。3-4-2-1から4-2-3-1へ。試合後、理由を尋ねられた森保監督はこう述べた。

「追う展開になったから」
「攻撃力のある前線の選手がベンチに控えていたので」
「前の人数を増やしたかった」
「タイミングを見て4バックに変えようと試合前から考えていた」

 なぜ、「3バック(3-4-2-1)という守備的サッカーで様子を見て、リードされたので攻撃的な4-2-3-1に変えた」と言えないのか。自らの3バックを守備的サッカーだと認めようとしないのか。会見の冒頭で述べた「立ち上がりからアグレッシブにいきたかった」という言葉と、布陣を変えた理由との間に整合性はない。

「U‐22はこれまでも3バックと4バックを併用してきた」とも述べている。特段、驚くべき采配でないことを森保監督は強調したが、メインは断然3バックだった。彼がサンフレッチェ広島の監督だった時も然り。ほぼ100%、守備的な3バックで戦ってきた。

 結局0-2で完敗したこの試合の敗因も、その守備的サッカーにあったことは明白だ。たしかに、コロンビアの選手たちの能力の高さには目を見張るものがあったが、それに守備的サッカーで対抗したことが、火に油を注ぐ結果になったのだ。

「今回の(コロンビアの)メンバーの中にA代表歴がある選手が4人混じっていた」と森保監督は力説する一方で、五輪代表のメンバーに入るためには、「個の力で局面を打開する強さが必要だ」とも述べている。精神面に加えて、個人能力が不足していたことを、間接的にではあるが、敗因に挙げていた。

 そもそも、このU‐22日本代表のリーダーは誰なのか。森保監督が練習に立ち会ったのは、このコロンビア戦の前日だ。W杯2次予選のキルギスとのアウェー戦から帰国するや即、駆けつけたわけだ。兼任監督と言いながら、実際にはA代表の仕事に追われ、これまで現場の指揮を横内昭展コーチにずっと任せてきた。

 この日も試合中、タッチライン際からひたすらコーチングしていたのは横内コーチである。森保監督はと言えば、プロデューサー、総監督のように、その後方でじっとたたずみ、戦況を見ているのみだった。

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