森保Jに停滞感。キルギス戦では
アジア杯決勝と同じミスを繰り返した

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by KYODO

 そしてもうひとつの変化が、これまでA代表でプレーしていた堂安律と久保建英、そして6月のコパ・アメリカを経て9月からA代表に収集されていた板倉滉が、11月17日に行なわれるU-22コロンビア代表戦のU-22代表メンバーに招集された点である。これは、来年の東京五輪に向けたチーム作りが本格的にスタートすることを意味する。

 そもそも森保監督自身がU-22代表の指揮を執るのは、A代表監督に就任してから今回が初めて。そういう意味では、今後は"二足のわらじ"を履く指揮官の真価が問われると同時に、W杯予選を戦うA代表の強化と、東京五輪に向けたU-22代表のチーム強化の関連性や整合性にも注視する必要があるだろう。

 反対に、招集方針でまだ変わっていない点もある。それは、W杯予選のような公式大会の試合では、従来どおりその時のベストメンバーを編成するという森保監督の考え方だ。今回のキルギス戦も、そうだった。

 この試合で森保監督がセレクトしたスタメンは、GKに権田修一、DFは酒井、植田直通、吉田、長友の4人。ボランチは柴崎岳と遠藤、2列目は伊東、南野、原口、そして1トップには永井謙佑が入った。

 直近のタジキスタン戦からは4人が変更されたが、その前のモンゴル戦と比較してみると、CB冨安健洋が植田に、左ウイングの中島翔哉が原口に変更されたのみ。つまり今回も、従来どおり主力メンバーがスタメンに名を連ねたことになる。

 唯一のサプライズといえば、左ウイングに中島ではなく原口を起用した点か。原口は今年1~2月のアジアカップ時のレギュラーだったことを考えれば、大きな驚きとは言えないが、それでもこれまで2列目の重要戦力と見られてきた中島が予選でベンチスタートになると予想した人は少なかったはずだ。

 考えられるのは、前戦における中島のパフォーマンスの影響だ。

 アウェーでのタジキスタン戦の中島は、相手の徹底マークを受けたこともあって、試合開始10分間でボールロスト6回を記録。その後、ボランチの配置変更をするなどして問題を解決したものの、相変わらず守備面の不安は残されたままだ。キルギスが右サイド攻撃を武器とする点を考慮すれば、守備面でより貢献できる原口を起用するのは妥当な判断と言えるだろう。

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