2019.11.12

なでしこは東京五輪へポジション争い激化。
新参者CBが名乗りを上げた

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 というのも、土光の素質の高さは育成年代の頃から定評があり、2012年のFIFA U-20女子ワールドカップ(日本開催)では、飛び級で選出され、史上初の3位に貢献。現在、ベレーザではセンターバックとして最終ラインから前線へのフィードでゴールチャンスを生み出し、攻守の要となっている。かつて、ビルドアップが苦手だったDFとは思えない成長だ。DFラインからのビルドアップを強化したいなでしこジャパンにとっては、最も欲しい人材でもある。

 土光は、冷静に南アのウィークを突くロングフィードで敵陣をバタつかせた。世界上位チームとの対戦に必要な守備については、まだ経験値が追いついていないが、攻撃面では南ア戦でも十分に手応えを感じさせるパフォーマンスだった。

 また、今回の試合でもっとも沸いたのは、熊谷紗希(オリンピック・リヨン)の代表110試合目にして初ゴールとなった先制点だ。チーム内ではネタとなっていた熊谷の初ゴールに、先制点の喜びのほか、愛ある笑いがピッチ上にも、ベンチにも溢れていた。「そろそろ(ゴールしても)いいんじゃないか」と前夜に熊谷と話をしたという高倉監督もまた、熊谷のゴールを楽しんでいるように見えた。

 このゴールの立役者のひとりが土光だった。CKで中島依美(INAC神戸レオネッサ)が寸分の狂いもなく狙ったのはファーサイドに空いたスポット。土光は迷うことなくそこに飛び込み、そのこぼれ球が熊谷の目前に来たのだ。

 その直後、もう一本CKのチャンスが巡ってきた。中島が蹴り出す直前、土光は誰よりも先にニアサイドへ向かってスタートを切った。そこへ速いストレートボールが入る。そのこぼれがまたしても熊谷のもとへ転がるという実に惜しいシーンだった。

「アレは絶対にいけました、触れました、ボールがよすぎました」――。この場面を土光は勢いよく話し、悔しがった。と同時に、面白がってもいた。

「依美さん(中島)は、いいボール蹴るなってリーグでも思っていましたが、同じチームとしてそのボールを受けるとより感じます」と中島のキックを大絶賛。