2019.11.10

U-17W杯、「優しくないパス」に感じた
着実な育成・強化の成果

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 その点においても、日本はかなりの手応えを得られたのではないだろうか。森山監督の言葉を借りれば、「距離感よくボールを動かしながら、連動してゴールへ向かっていく」という点において、日本は今大会でも際立っていた。

 ある程度時間をかけてチーム作りをしているとはいえ、日常的に活動しているクラブや高校のチームと比べれば、代表チームは所詮、”寄せ集め”。それでいて、攻守両面において、これだけ規律を持って組織的に戦えるのは、戦術理解という点で全体のベースが上がってきているからだろう。

 しかし、こうしてあらためて振り返ってみても、決して小さくはない手応えが感じられた大会だったからこそ、やはり最後のメキシコ戦だけが悔やまれる。

 日本は、試合直前の突然の豪雨の影響があったのか、立ち上がりに集中を欠いた。MF藤田譲瑠チマが「最初の20分で、ちょっと緩く(試合に)入っちゃった」と振り返るとおりだ。

 それでもその後は、「ボールを持てて、何回かいい形、いいリズムで攻撃できた」と藤田。後半なかば以降は、決定機と呼べるチャンスも何度か作っている。

 それだけに、CKから失った1点目はともかく、2点目を奪われたのが痛かった。GK鈴木彩艶も、「0-1だったら全然チャンスがあったと思うが、2点目を食らって、難しいゲームになってしまった」と認める。

 その2点目というのは、メキシコの背番号9、FWサンチアゴ・ムニョスに単独でペナルティーエリア付近まで持ち込まれて決められたものだが、鈴木海曰く、「(ムニョスへの)1本目の相手のパスで潰せたと思う。あそこで簡単に前を向かれてしまった」のが、要因となっている。森山監督が語る。

「その前に(ムニョスにパスが通ったところで)3人で囲みながら、球際のところで取れなかった。(相手ひとりに対し)ふたりいたら取り切ってしまいたいのに、3人いたにもかかわらず、それが漏れてしまった」

 日本は数的有利の状況を作っていたにもかかわらず、誰がボールを奪いにいくのか、誰がカバーするのかがはっきりせず、ズルズルと相手の前進を許した結果が、試合を決定づける2失点目につながったのである。