U-17日本代表、西川潤の「株」が上昇中。
勝ち上がれば高騰の予感

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 初戦から優れたテクニックとアイディアを披露し、スタンドの観衆はもちろん、ヨーロッパからやってきたエージェントやクラブのスカウトをも魅了している西川は、もはやこの大会の顔になりつつある。この試合でも、西川が交代出場のためにベンチからピッチへ向かうと、スタンドからは大きな歓声があがった。西川のプレーには、目の肥えたブラジルのサッカーファンでさえも引きつけるだけの力がある。

 森山監督曰く、「ここまで疲れを引きずりながら、だましだましやってきたが、状態はかなりよくなってきている」という西川。コンディションが上がっていけば、これから先、"西川株"がさらに高値をつける可能性は十分にある。

 とはいえ、この試合の最大の勝因を挙げるなら、セネガルの猛攻に耐え、無失点に抑えた粘り強い守備に尽きるだろう。森山監督もこう称える。

「(セネガルの攻撃は)体験したことのないレベルのスピード、推進力、迫力だったが、止められないような攻撃を何度も止めてくれた。最後まで(集中力を)切らさず、チャレンジしてくれた」

 今大会初出場となった村上も、相手の高速カウンターには「(対応するのが)厳しいところはあった」と正直に認めつつも、「やっていて徐々に慣れていった。対人のところでは体を張れた」と胸を張った。

 グループDは、ヨーロッパチャンピオンのオランダを筆頭に強豪がそろい、日本の苦戦は必至かと思われた。順位はともかく、グルーリーグを突破できれば御の字。グルーリーグ敗退も十分ありえる。客観的に見て、それが妥当な予想だったはず。

 ところが、終わってみれば、日本は見事に首位通過。第3戦では主力を温存する余裕まで見せ、先発メンバーを大きく入れ替えながら、チーム一体となって粘り強く戦い、最後には勝利をつかみ取った。オランダ戦での完勝に始まり、率直に言って、うれしい誤算の連続である。

 日本の決勝トーナメント1回戦の相手はメキシコ。「とにかく強い相手とやりたい」と常々話している森山監督にしてみれば、願ってもない相手だろう。

 日本は目標のベスト4進出へ、まずは第一関門突破。勢いに乗るチームは、最高の雰囲気で次なる関門へと向かう。

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