2019.11.04

U-17日本代表、西川潤の「株」が上昇中。
勝ち上がれば高騰の予感

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

「セネガルは前線(の選手)の足が速いので、(日本の)DFラインが下がったが、FWはそのままの位置にいたため、(全体が間延びして)ボールの出どころにプレッシャーがかからなかった。(サイドにはスピードある選手がいたので)サイドハーフも絞るに絞れず、間にパスを通されてしまった」

 セネガルのスピードに乗った攻撃の前に、もはや日本のディフェンスは決壊寸前。ゴールを許すのは時間の問題かに思われた。

 しかし、日本は鈴木海音、村上陽介の両センターバックを中心に、体を投げ出すようにしてセネガルのシュートをブロック。どうにか猛攻をしのぎ、前半を0-0で乗り切った。

 すると、ハーフタイムを挟み、次第に試合の流れが日本へと傾き始める。潮目が決定的に変わったのは65分、FW西川潤の投入がきっかけだった。

 技術に優れる西川は、周囲と連係しながらボールを前へと運び、自らもフィニッシュに絡むことができる。巧みに左足を操るレフティーは、出場から10分足らずで、立て続けに2度の決定機を作り出した。

 そうして迎えた83分、”その瞬間”はやってきた。

 MF藤田譲瑠チマからの縦パスを受けた西川は、ドリブルでペナルティーエリアに進入。冷静にGKの動きを見極め、左足を振り抜いた。ボールは芝の上を滑るようにゴールへ向かうと、GKの右足とゴールポストのわずかな隙間をすり抜け、ゴールネットを軽やかに揺らした。殊勲の背番号10が語る。

「トラップがうまくいって、(前を向いたら)GKが出てこなかったので、ニアを狙って蹴った。チームの勝利に貢献したいと思っていたので、決められてよかった」

 実は試合前、西川は森山監督から「後半開始から行くと言われていた」という。

 ところが、田中が前半で負傷交代したことで、「プランが狂った」(森山監督)。グループリーグ初戦では、3人の交代カードを使い切ったあとに、複数の選手の足がつってしまうという事態を招いたこともあり、本来は思い切りのいい指揮官も、さすがに西川投入をためらわざるを得なくなった。

 だが、スコアレスのまま動かない試合を見て、森山監督は腹をくくった。

 もちろん、送り出された西川も、セネガルの猛攻に耐えるチームメイトの姿を目にし、期するものがあった。

「前半からみんなハードワークしていたので、絶対にチャンスがあるなと思っていた。決められる自信はあった。思いどおりになった」