U-17日本代表、はや4強が見えた。欧州王者オランダに歴史的快勝

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 日本が勝利したという結果もさることながら、内容がすばらしかった。だから、試合を見ていて痛快だった。

 テクニック、スピード(走るスピードも、パススピードも)、運動量、プレー判断、フィジカルコンタクト、空中戦、球際の競り合いなど、サッカーに必要とされる要素のどれを取っても、日本は互角以上に渡り合えていた。

 そのうえ、日本ならではの特長である、全員で力を合わせてプレーする組織力や粘り強さまで備えていたのだから、完勝を収めるのは当然の結果だったのかもしれない。

 相手がヨーロッパチャンピオンであったことも含めて考えれば、おそらくU-17日本代表史上ベストマッチ。少なくともU-17ワールドカップでの試合に限れば、そう言い切って構わないだろう。

U-17W杯、日本はグループリーグ初戦でオランダに快勝したU-17W杯、日本はグループリーグ初戦でオランダに快勝した 10月26日(現地時間)からブラジルで開かれているU-17ワールドカップ。日本はグループリーグ初戦でオランダと対戦し、3-0で勝利した。昨年のU-16ヨーロッパ選手権を制し、今大会でも優勝候補と目されていた難敵を相手に、胸のすくような快勝である。

「試合に入って、正直、オランダはこんなにうまいのかってビックリした。最初は、ちょっとヤバいなと思った」

 ボランチとして攻守に奮闘したMF藤田譲瑠チマが、苦笑まじりでそう振り返ったように、試合は序盤、オランダペースで動き始めた。

 日本はオランダに楽々とパスをつながれ、ジワジワと後退。どうにかボールを奪っても、それを攻撃につなげることができず、自陣で防戦を強いられた。

 だが、2年前の前回大会でも指揮を執っている森山佳郎監督によれば、「あれくらいは想定範囲内。20分くらいは苦しむんじゃないかと思っていたが、全然そんなことはなかった」。キックオフの笛から10分を過ぎると、日本は奪ったボールを落ち着いて動かしつつ、相手DFラインの背後を効果的に突いて、チャンスを作り出した。

 なかでも、驚異的なスピードを武器にオランダ守備網を切り裂いたのが、先制ゴールを含む2得点を挙げた俊足ストライカー、FW若月大和である。藤田が続ける。

「簡単に(DFラインの)裏に蹴り出して大和を走らせたところから、相手のDFラインが下がってきた。そうすることで、真ん中(中盤)にスペースができて、自分とか、(MF田中)聡とかがボールを持てるようになって、流れが少しずつ変わってきた」

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