変化は顕著。「大迫不在」で激増した森保ジャパンの攻撃パターンは? (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 まず2-0で勝利したエルサルバドル戦では、19分に冨安健洋のロングフィードから裏に抜け出した永井がDFを振り切って先制ゴールを決めると、41分には原口元気のクロスに永井が合わせて2ゴール目をマーク。縦パスをきっかけに前線のアタッカーが連動しながらフィニッシュする形ではなく、シンプルな攻撃から2度ネットを揺らしている。

 その試合で日本が見せた縦パスは、前後半合わせて計46本。その一方で、サイドからのクロスは計9本だった(前半4本、後半5本)。

 もっともエルサルバドル戦は、その4日前に行なわれたトリニダード・トバゴ戦同様、森保監督が開始から3バックを採用したことが最大の焦点となった試合だ。右ウイングバックに伊東、左ウイングバックに原口と、酒井宏樹と長友佑都が先発したトリニダード・トバゴ戦よりも攻撃的な駒を配置しながら、クロス本数が大幅減となった現象がクローズアップされた。伊東にいたっては、1本もクロスを供給できずに終わっている。

 その原因のひとつとなっていたのが、大迫ではなく永井が1トップに入ったことだった。それにより、永井の特徴を生かすべく縦パスの供給が増え、サイドからのクロスボールが激減したのである。

 ところが、モンゴル戦は違っていた。この試合で日本が記録したクロスは計45本(前半23本、後半22本)と、森保ジャパン過去最高を記録。意図的にサイド攻撃を多用したことは明らかだった。なかでも4-2-3-1の右ウイングでプレーした伊東は、前半5本、後半8本と、計13本のクロスを供給し、そのうち前半の3本から3ゴールを生み出している。

 逆に、モンゴル戦で日本が見せた縦パスは前後半合わせて12本のみ。しかも、ほとんどがカウンターや相手の裏のスペースを狙った縦パスで、その多くが南野拓実をターゲットにしたもの。永井が足元でくさびのパスを収めたシーンは一度もなかった。

 引いて守るモンゴルの最終ラインの背後にスペースがない状況からすれば、当然の傾向だ。大迫不在のなかで、引いて守る相手に対する攻撃のアプローチとしては間違ってはいなかったことになる。実際、この試合で日本がマークした6ゴールのうち3ゴールがクロスから生まれ、それ以外はコーナーキックから2本、ミドルシュートのこぼれ球に詰めたゴールが1本という内訳だった。

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