2019.10.12

モンゴルに感謝。W杯予選で
日本代表は絶好の「強化試合」をこなせた

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

 ところが、キックオフの笛が鳴ってみると、試合は案外、”普通”だった。言い換えれば、モンゴルが案外、”普通に戦っていた”ということだ。

 モンゴル代表を率いるミヒャエル・ワイス監督が「コンパクトな守備をしようとした」と語ったように、モンゴルはいたずらに下がって守るのではなく、まずは守備ブロックを高く保つことで日本の攻撃を待ち受けた。

 もちろん、結果的に自陣ゴール前まで押し込まれる時間が長くはなったが、決して中盤を放棄して、端からそこで待っていたわけではない。実際、中盤でMF中島翔哉がボールを持ち過ぎれば、囲い込んでボールを奪い取るシーンもあった。

 結果的に、モンゴルのシュートはゼロ。それどころか、敵陣ペナルティーエリアまでボールを運ぶこともできなかった。だが、ボールを奪って敵陣まで入ることくらいは何度かできていた。彼らが自陣ゴール前にこもっていたら、おそらくこんな場面は作れなかっただろう。

 実力差は火を見るよりも明らかで、事実、日本が6-0で勝利した。

 しかし、それでもモンゴルの選手たちは、彼らにとってはちょっとしたスター軍団だったはずの日本に対し、果敢に挑み続けた。1点を失っても簡単にはやる気を失わず、最後まで粘り強く戦った。そのおかげで、試合は90分間を通して壊れることがなかった。

格上の日本相手に最後まで粘り強く戦ったモンゴル そんな試合を見ていて頭に浮かんだのが、冒頭に記した練習試合である。

「(ベタ引きされるより)普通にやってくれるほうが、自分たちはやりやすい」

 ボランチのMF遠藤航がそう語ったように、日本にとっては格下相手ゆえのやりにくさをそれほど感じずに戦えたはずである。低い位置からボールをつなぎ、ピッチの幅を広く使って、サイドから丹念にモンゴルディフェンスを崩していく。日本の攻撃からは、そんな狙いが見て取れた。遠藤が続ける。

「大事なのは(相手に関係なく)自分たちが持っているものを100%出すこと。攻撃の形はしっかり作るとか、丁寧にやるところをやっていかないと。今まで日本代表は、チャンスを作っても(ゴールを)取り切れないことが課題としてあったが、今日は決め切れた」