右サイドの伊東純也が森保ジャパンの攻撃のキーマンである理由 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

 しかし、右利きの右ウイングは少ない。世界的にもそうだし、日本国内でも見つけにくい。日本代表でそれなりに活躍した選手となれば、長谷川健太(現FC東京監督)まで遡らなければならない。

 前フリが長くなってしまったが、言いたいことは伊東純也(ゲンク)の貴重さについてである。久保建英(マジョルカ)より、中島翔哉(ポルト)より、圧倒的に発見しにくいタイプの選手なのだ。

 モンゴル戦。日本の右ウイングは左利きの堂安律(PSV)ではなく、その伊東だった。

 予想どおり、モンゴルのレベルは低かった。結果は6-0。それでもまだ物足りないスコアに見えるほどだ。試合としては完全なミスマッチ。「モンゴルに6発大勝!」と大喜びするのは、あまりにもおめでたい。

 しかし、おめでたいことを承知であえて言えば、サッカーの見映えはけっして悪くなかった。それは攻撃のルートが3本揃っていたからだ。とくに鮮明だったのは、これまで見えにくかった右のルートだ。伊東の貴重さを再確認した試合と言ってもいい。

 通常、このポジションでスタメンを飾るのは堂安だ。伊東は久保とともにそれを追う存在だが、ゲンクでチャンピオンズリーグ(CL)出場を果たしている伊東が、CL出場を逃したPSVでまだレギュラーに定着できずにいる堂安を差し置いてスタメン出場するのは、当然の選択と言うべきだろう。

 堂安と伊東。プレーの傾向で異なるのはその進んでいく方向だ。堂安は真ん中へ、格闘技で言うところの半身の態勢で、切れ込んでいく。10回プレーの機会があれば8回以上、そのパターンになる。縦へ推進していくことが得意ではないと言うべきだろう。よって、日本の攻撃もそこから先は狭くなる。右サイドの深い位置(ゴールライン際)まで突いていきにくくなる。攻撃に深みを出しにくいサッカーだった。

 攻めていく力がなかったのか、意図的に守ったのかは定かでないが、モンゴルはゴール前を固めた。ハーフコートマッチとはよく言うが、この場合は3分の1コートマッチだった。引いて構える相手をどう崩すかがテーマになっていた。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る