1年半前倒しでプロ入り。上田綺世がアントラーズ行きを決断した真相 (4ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo, Getty Images

―― では、ストライカーの思考の話から離れて、鹿島アントラーズのことも聞かせてください。6月のコパ・アメリカと7月のユニバーシアードを終えたタイミングでプロ入りしたわけですが、コパ・アメリカに参加する前から決めていたそうですね。2年後の鹿島入りは内定していましたが、なぜ、タイミングを前倒ししたのですか?

上田 大学に入ってから(U-20、U-21、U-22)代表に選ばれるようになって、プロの選手たちとチームメイトになる機会が増えて、一緒にプレーして、会話をして、プロの世界への憧れが再燃したというか。大学に入って、マンネリ化していたわけじゃないけど、プロが遠く感じる時期もあったし、代表に選ばれて上が見えたからこそ、絶対にプロになりたい、すぐにでも行きたいと思うようになり始めたんです。

 でも、大学も悪いわけじゃないし、入ったからには卒業すべき、という考えもあって。そのなかで、何クラブか練習参加のオファーをもらって参加したんですけど、鹿島の練習に参加した時に、「鹿島を断る理由はたぶん見つけられないな」と思った。今年の2月に鹿島に決めたのも(※2021年からの加入内定を発表)、大学を辞めるとかではなく、特別指定選手として2週間、鹿島の練習に参加して、2週間、法政に戻って、その後は代表に行って、というサイクルでできればいいなって思ったんです。

―― 鹿島、法政、U-U22、ユニバーシアードの4チームでやれれば、忙しいけど、成長できるんじゃないかと。

上田 そうですね。法政でもまだやれることはあると思っていたし。だから、この半年間をテスト期間にしようと思っていたんですね。半年、強化指定選手として鹿島でどんな経験が積めるか、法政に何をもたらせるか。

 法政でプレーして2年間、僕は毎年ふたケタ(ゴールを)獲ってきたんですけど、それ以外の選手が5点以下だったんです。だから、僕なりの点を獲るためのメソッドを、後輩をはじめとしたチームメイトに教えようと思って。いろんなスタイルのシュート練習をしながら、今はこういう選択肢を持つべきとか、なぜこれはいけないのかとか、そういったところに着目して、法政の得点力を上げるために伝えてきた。

 その効果があったのかどうかはわからないですけど、今年、僕よりも先に後輩が点を獲り始めたんです。去年、1点も獲れなかった選手が、開幕から4試合で3点獲って。

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