U-22のエース上田綺世。ストライカーとしての本質をさらけ出した (4ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo, AFLO

―― 今の話を聞いていて思い出すのが、チリ戦の69分のシーン。中央の久保建英選手(マジョルカ)から左サイドの安部選手にパスが出て、そのクロスに上田選手が飛び込みましたが、届かなかった。でも、本来は久保選手からパスを引き出したかった?

上田 まさにそうです。あのシーンはカウンターからタケ(久保)がドリブルしていて、僕はプルアウェイで敵から離れて間を取ったんですよ。タケから速いパスをもらうつもりで膨らんで。その少し前、相手のラインがピタッと止まったのも見えていたから、一歩下がってプルアウェイしたんですけど、おそらくそこでタケは僕への選択肢をなくして、オーバーラップしてきた裕葵に切り替えた。

―― そして、久保選手から安部選手へスルーパスが出た。

上田 そのパスの出る瞬間が、これは言い訳なんですけど、敵がブラインドになって僕には見えなかった。それで、飛び込むのがワンテンポ遅れた。そんな感じです。そこまで予測できなかった自分の経験値のなさと能力不足、タケに裕葵を使わせて、自分が中で生きるという発想がなかったことが、あのシーンの課題ですね。

―― なるほど。では、「自分のことが好き」ということに関して。ほとんどのアスリートがそうだと思いまうすが、どういうところが好きですか?

上田 どういうところ......とくにないですけど、このプレースタイルを選んだのは、自分がそうなりたいと思ったからだし、上に、上に、ステップアップしていく自分を楽しみたいですし。まだ20年しか生きていないですけど、この20年、葛藤しながら、そこで得たものを今、生かせているところも好きだし。やっぱりある程度、ナルシシズムとエゴがないと、僕は上には行けないと思っているので。

―― のし上がって行く人は、そうなんじゃないかと。

上田 自分を好きな選手ほど、成長できると思います。好きであればいい、というわけでもないですけど、それが自信につながるのであれば、それがベスト。だから僕の考えとしては、エゴとナルシシズムがないと、ひと皮剥けないんじゃないか、一線を越えられないんじゃないかって。

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