U-22のエース上田綺世。ストライカーとしての本質をさらけ出した (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo, AFLO

―― プレッシャーや不安を楽しめる?

上田 楽しめるというと語弊があるかもしれないけど、けっこう好き。外し続けるのは面白くないけど、そこで自分が焦ったり、普段は感じられないような刺激を受けるのが好きなんです。たとえば(今年6月の)コパ(・アメリカ)の時、シュートが全然入らなかったけど、僕は楽しんでいた。

 日本代表の試合でシュートを外し続けた選手が、そういうことを言うのはよくないけど、自分のキャリアにおいて、悪い大会ではなかったと思います。今後、あそこが基準になっていきますから。だから、試合中も「もっと打ちたい」「入るまで打ってやる」という気持ちだったし、エクアドル戦は頭と身体がこれまでで一番活性化した状態でした。

―― 1戦目のチリ戦、2戦目のウルグアイ戦でノーゴールに終わって迎えた第3戦ですね。

上田 自分がそれまでの2試合で結果を残せなかった焦りと、グループステージ突破に向けて「チームとして結果を残したい」という強い想いが入り混じって。あれだけ得点を奪いたいという欲にまみれた状態は、日本ではあまりないこと。それを試合中に感じられて、すごく楽しかったんです。

―― エクアドル戦の66分から途中出場した時、1点獲ったほうが勝ち抜け、という状況でした。「チャンスよ、来い」と念じながら、あるいは「どうやってチャンスを呼び込むか」と思い描きながら。

上田 そうですね。あの時は......いや、これを話し出すとオタクみたいになっちゃうし、話も長くなるので、やめておきます(苦笑)。でも、チャンスを呼び込むということで言えば、僕はシュートを打つ手前の選手を起点にしているんですよ。イメージで言うと、ミドルシューターのポジショニング、トップ下の選手がボールを持ってミドルを打てるぐらいの距離になった時が、自分が一番輝ける瞬間。

―― 自分がボールを持った時ではなく、2列目の選手からどうボールを引き出すか、という瞬間。

上田 そこでいかに味方の目に映って、自分を選んでもらえるか。僕を選んでもらえなかったら、その選手が自分でシュートを打つか、他の選手にパスが出る。僕へのパスが最善だと思わせる動き出しをして、パスを出してもらわないと、僕はシュートを打てない。そこが一番の勝負どころですね。敵との駆け引きもあるけど、味方とも駆け引きをしながら。何手先も読みながら、それを楽しんでいたのがエクアドル戦であり、チリ戦でした。

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