スペインの目利きが森保監督に拍手。「若手を戦力にしつつある」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 もっとも、パラグアイが自滅に近かったのも事実だろう。エドゥアルド・ベリッソ監督はマンマーク戦術信奉者だが、まったく機能していなかった。人に食いつく強度が足らず、闇雲にスペースを明け渡すだけで、そこを使われてしまった。長旅や時差による体調不良もあったのだろうか。

 個人的な意見を言えば、マンマーク戦術は勧められない。エリア内では人のマークを見失うべきではないが、オールコートでは破綻する可能性が高いだろう」

 エチャリは戦術家としての視点で語り、こう続けた。

「日本のサイド攻撃は特筆に値した。たとえば前半15分過ぎ、中盤に下がった中島が持ち上がり、右サイドを攻め上がった酒井へパス。インサイドにポジションを取った堂安はスルーし、エリアに入った大迫勇也がシュート。連係の高さがうかがえて、戦術レベルは出色だった。

 それは23分の先制点につながっている。橋本からの縦パスをインサイドで受けた中島は、近くに寄ってきた堂安にパス。さらに左サイドでフリーになった長友にパスが出ると、ニアに走りこんだ大迫がダイレクト左足で合わせた。パスの方向が目まぐるしく変わって仕留めたゴールだ。

 そして、30分の得点シーンはこの日のベストプレーだったかもしれない。橋本が左サイドに開いて起点になると、インサイドに入ってフリーになった中島にパス。中島はすかさず右サイドの酒井へボールを入れると、その折り返しを南野拓実が押し込んだ。左で作って、右へ大きく展開し、深みを作り、それを中央で合わせる。模範的な攻撃と言えるだろう。

 日本は外、中、外と、ボールの動きを一定させずに変えていた。ボールを入れるアングルも常に変化させ、相手に的を絞らせていない。スペースの戦いで優勢なだけに、選手が余裕を得てプレーしていた。チームの練度の賜物だ」

 2-0とリードした前半の戦いを語ったあと、エチャリは後半の戦いにも及第点を与えた。

「後半も、日本はリードを生かして試合を進め、多くのチャンスを作っている。

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