スタメン選択に議論の余地あり。2次予選はマンネリ化より新戦力強化だ (4ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 ただ長いボールを放り込むのではなく、パスを回して相手を揺さぶってからフィニッシュに持ち込む。5日前のパラグアイ戦のみならず、これまで積み上げてきた攻撃バリエーションは、当たり前の話ではあるが、ミャンマー相手に確実に通用していた。

 森保ジャパンのバロメーターでもある縦パスも、前半から24本を記録。後半も28本だったことからしても、いかに日本がミャンマーを圧倒していたかがわかる。

 さらにサイドからのクロスボールの本数も、前半が11本、後半は19本と、いつになく多かった。

 ただし、クロスからゴールが生まれなかったことは数少ない反省点といえる。とくに後半に19本ものクロスを入れながら、ターゲットに合わせてシュートに持ち込んだのはわずかに1度しかなかった。

 もちろん引いた相手に対してはサイドからの攻撃が有効であることは間違いないが、この試合では、後半にクロスが増えたことが逆に単調な攻撃につながってしまったと解釈することもできる。ピッチ状態が悪かったとはいえ、そこは修正点といえるだろう。

 いずれにしても、格下相手に隙を与えず、ワンサイドゲームに持ち込んだ試合のなかで、ひとつだけ気になることがあった。

 2点をリードした状態で迎えた最後の10分間のゲームの進め方だ。

 後半81分、森保監督は中島に代えて久保建英を投入。66分に堂安と代わって右ウイングでプレーしていた伊東純也を慣れない左ウイングに回したわけだが、その交代策は妥当だったのかどうか。

「3点目を目指した」とは森保監督のコメントだが、おそらくW杯予選最年少出場記録がかかっていた久保を気遣っての采配だと思われる。

 ただ、問題はここで本当に攻め続けることが日本にとってプラスになるかという点だ。たしかに「W杯予選は何が起こるかわからない」という固定観念に照らしてみれば、あるいはミャンマーに攻撃の糸口がなかったことを考えても、できるだけ多くのゴールを奪いたいという気持ちが沸くのも理解できないわけではない。

 しかし一方で、このように恵まれた2次予選でゴール数が命運を分けるような展開になるとは到底思えない現実を見る必要もある。

 日本に必要とされるのは勝ち点3を手にすることのみ。できれば失点せずに勝利することがベストと考えれば、残り10分間はゲームをコントロールして相手のやる気を失わせることが重要だと思われる。

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