2-0勝利とその中身をどう捉えるか。日本は試合の整え力を欠いている

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyma Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 ミャンマー戦。日本はアウェーで2-0の勝利を収めた。ある尺度に照らせば喜ぶべき試合だが、別の尺度に照らせば喜べない試合となる。日本はどんなスタンスでこの試合に臨んだのか。評価はその点に委ねられる。

ミャンマー戦の前半16分、先制ゴールを決めた中島翔哉ミャンマー戦の前半16分、先制ゴールを決めた中島翔哉 ミャンマーのシュート数は2。日本のペナルティエリア内でボールを保持した回数も1回あるかないかだった。予想どおりというか、見てのとおりというか、ミャンマーは弱かった。

 森保一監督は日本とミャンマーとの間に存在する実力差を、戦前どう捉えていたのか。そしてこの試合に何を求めていたのか。もっと言えば、どれほどのスコアで勝ちたかったのか。

 スタメンは、9月5日に鹿島で対戦したパラグアイ戦と同じだった。2試合続けてベストメンバーを並べたわけだ。パラグアイは実力国。しかし、蓋を開けてみれば、コンディションに難を抱え、日本はあっさり2-0で勝利することができた。

 そのパラグアイより圧倒的に弱いミャンマーに対し、日本は同じメンバーで臨み、スコアも同様に2-0だった。アウェーなど条件は違うにせよ、この現実をどう捉えるべきか。

 少なくとも試合直後の選手たちに笑顔はなかった。試合後の森保監督も、2点で打ち止めになったことについて、不満を口にしていた。

 求めていたものは大勝で、希望するスコアは5-0とか6-0だったのだろうか。だとすれば、まずはその計画にひと言、意見を述べたくなる。そんな大勝する必要はあっただろうか。2-0で十分。1-0でも2次予選なら問題ない。

 前回のW杯予選の初戦は、シンガポールに0-0で引き分けている。選手も監督もその二の舞を演じたくないと思ったのだろう。ただ、4年前のシンガポールは今回のミャンマーより強かった。とりわけGKを含むディフェンス力に優れていた。試合が始まってほどなくすると、埼玉スタジアムには危ういムードが立ち込めたものだ。

 しかし今回、中島翔哉(ポルト)の先制ゴールが決まったのは前半16分。しかも中島のシュートは、並のGKなら止めることができた、低身長に助けられた一撃だった。この時点で前回のシンガポール戦を想起する必要はなくなっていた。

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