若手起用とダブスタ問題。森保ジャパンは「興味深いテスト」ができるか

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 思わず本音がこぼれたのは、4年前の記憶を紐解いていた時だった。酒井宏樹(マルセイユ)が苦笑いを浮かべて語った。

「シンガポール戦で0-0のまま迎えた70分以降のあの雰囲気は、自分たちが招いたとはいえ、二度と味わいたくないですね」

パラグアイ戦では後半から出場した久保建英パラグアイ戦では後半から出場した久保建英 シンガポール戦とは、満員の埼玉スタジアムで行なわれたロシア・ワールドカップ・アジア2次予選の初戦のことだ。一方的に攻め込みながら、一向にゴールをこじ開けられない、じれったい展開にスタジアムの応援の熱が一層高まっていく。

 ただでさえ初戦の緊張感があるというのに、スタジアム内の押せ押せムードも手伝って攻め急ぎ、なおのことゴールは遠いまま。結果、痛恨のスコアレスドローを演じてしまった。

 その点、今回の2次予選初戦のミャンマー戦はアウェーゲームだから、4年前(に限らず、8年前のザックジャパンも、16年前のジーコジャパンも)のような"ホームのプレッシャー"とは無縁だ。酒井が続ける。

「アウェーのほうが余計なプレッシャーはないかな、と思います。日本でやるほうが、サポーターのみなさんの期待がプラスされますからね」

 とはいえ、もちろん、アウェーゲームならではの困難がつきまとう。長距離移動や気候の変化、不慣れなピッチに、スタジアムの独特な雰囲気......。

 ましてや、今予選で同組なのは、ミャンマー(FIFAランク135位)、タジキスタン(同119位)、キルギス(同95位)、モンゴル(同187位)と、日本(同33位)とは実力差が大きく開いているチームばかり。相手は自分たちのホームだろうが、なりふり構わず引いて守ってくる可能性が少なくない。

 そうした状況で毎回浮上するのが、「引いた相手をどう崩すのか」という問題である。

 個人的に思うのは、引いた相手を攻め崩せなくても、そう目くじらを立てる必要はない、ということだ。

 きれいに崩す必要などなく、ロングシュートでも、セットプレーでも、相手のオウンゴールでも、ゴールはゴール。必要なのは勝ち点3だ。リスクを犯さず、淡々と、粛々と。どんなに不格好でも、勝利をもぎ取りさえすればいい。

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る