森保ジャパンはパラグアイ戦の前半と後半で「違う顔」を見せた (5ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 後半に見せたそれ以外のクロスは3本のみ。さらに言えば、後半から右サイドバックでプレーした冨安の2本(57分、90分)も、83分に途中出場で左サイドバックに入った安西幸輝のクロス(83分)も、味方に合わず相手にクリアされるなど、本数も成功率も低下した。

 それも含めて、後半の日本の攻撃が行き詰まりを見せたことは否定できない。とくに大迫に代わって永井謙佑が投入されてからは、連動した攻撃が影を潜め、単発の攻撃に終始してしまった印象だ。もしパラグアイが消耗していなければ、日本が押し込まれる時間が長くなっていても不思議ではなかった。

 そういう意味で、前半と後半で違った顔を見せてしまったパラグアイ戦は、2-0の勝利という結果とは別に、課題を浮き彫りにした。

「勝利したことはすばらしいが、試合を決める3点目を奪うチャンスもあり、選手が変わったあとにもっと安定したゲームができたはず」

 森保監督はそう振り返ったが、ベストメンバーで戦った前半と、戦術変更した相手に対応できなかった後半の差は明白だった。この状態が続けば、2次予選、そして最終予選と、この先約2年にわたって代わり映えのしないメンバーで戦い続ける可能性が高まる。

「ベストメンバーで戦い続けることによって、最終予選以降にマンネリ化と行き詰まりを見せてチーム力が低下する」。その傾向が定着している日本代表の歴史を振り返ると、森保ジャパンの今後に一抹の不安を感じてしまう試合だった。

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