森保ジャパンはパラグアイ戦の前半と後半で「違う顔」を見せた

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 しかしながら、それは長くは続かなかった。

「疲労が影響して高いリズムを維持できなかった。言い訳にはしたくないが、長距離移動が影響したと思う」

 ベリッソ監督は試合後の会見でそう振り返ったが、そこにフィジカルコンディションが肝となるマンマーク・ディフェンスの落とし穴があった。前半の日本がパラグアイを圧倒できた理由のひとつだ。

 果たして、日本の動きについていけなくなったパラグアイのマンマークが綻びを見せるようになると、「自陣ゴールに近いところでしかボールを奪えず、攻撃も相手ゴールの遠くでしかプレーできなかった」というベリッソ監督のコメントどおりの試合展開となった。

 もっとも、日本ペースになった原因がパラグアイだけにあったわけではない。前半の日本には、パラグアイ対策をしっかり練っていたことを伺わせるプレーが随所に見られ、それによって森保監督がよく口にする「連動性」を生かした鮮やかなゴールを2度決めることができていたからだ。

 23分の先制ゴールの伏線は、13分のシーンにあった。守備に戻った堂安が中央でボールを奪うと、そのボールを拾った吉田が下がってきた大迫へショートパス。その後、中島、南野がダイレクトパスをつなげてボックス付近の大迫に戻し、さらにワントラップした大迫から堂安、中島、南野と再び連続ダイレクトパスをつなぎ、最後はボックス内で堂安がシュートチャンスを迎えたスピーディな攻撃だ。ゴールには結びつかなかったが、マンツーマンをかわす有効な手段のひとつであるダイレクトパスを使って中央突破したことで、日本の攻撃を活性化させるきっかけとなった。

 もうひとつ、マンツーマンをかわす有効な手段となっていたのが、中島のドリブル突破だ。「中島からスピーディで縦を突く攻撃が生まれていたため、守るのに苦労した」とはベリッソ監督のコメントだが、中島のドリブルも、パラグアイの守備の綻びを生じさせる原因になっていた。

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