冨安健洋と安西幸輝が偉大な先輩SBとのポジション争いに名乗り (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

「スプリント回数など、運動量が絶対。それから1対1の強さ。個の能力というか。SBって(守備側が)嵌めようとする(※そこでボールを奪おうとする)ポジションなので、嵌められない選手が敵にいたら本当に難しい。たとえばマルセロとか。ブラジルとやったとき、ぜんぜん嵌められないんですよ。能力の高いSBとは、そういう選手だと僕は思います。ただ冨安なら、それもできそうな感じがするんですよね」

 当の本人は、「初めてですし、練習でもやっていないので、攻守共にまだまだ良くできる(ようになる)と思います。守備のところでは、(前のポジションの久保建英に)頑張らせすぎちゃったので、もっと僕が動けばよかったですね」と話した。

 冨安らしい謙虚な言葉だが、きっと少しは手応えもあったのではないか。身体能力と体格、そして出会いに恵まれる若者は、いかなる場所でも成長し、あらゆる舞台で躍動する姿を披露してきた。守備の国イタリアでどんな選手になっていくのか、とても楽しみだ。

 そして67分には、左SB長友に代わって安西幸輝が登場した。右利きながら左でも遜色のない働きをする24歳もまた、今夏、1年半を過ごした鹿島アントラーズを離れ、ポルティモネンセへ移籍。中島翔哉や権田修一、前田大然も参戦するポルトガルで唯一、安西は開幕からリーグ戦で全試合にフル出場している。3月以来の招集を受けた理由のひとつも、そこにあるはずだ。古巣の本拠地に凱旋し、少ない時間のなかでも溌剌とした動きを見せた。

「サポーターの前で試合ができてよかったです。ファミリーだと思ってくれているのは、すごくうれしいこと。もう少しボールを触れればよかったですけど、勝つことが大事です。これからもっとアピールしていかなければいけないですね」

 キラキラと汗が光る表情からは、充実感がうかがえる。ポルトガルでの日々を楽しんでいるのだろう。

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