久保建英がバロンドール級になるために必要なのは「縦への推進力」だ (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 久保は現在18歳と3カ月。まだ選手としての評価を確定しにくい年齢だ。どれほどの選手に成長するか、わからないという意味で不確定要素の多い選手になる。このまま停滞してしまう可能性だって排除できない。楽しみでもあるが、心配な年齢でもある。

 それが明確になる時期は人それぞれだが、18歳で40%、19歳で60%、20歳で80%が目安だろう。山場はこの1年、2年。時間はそう残されていない。

 最高の可能性を挙げるならば、バロンドール級の選手だ。リオネル・メッシ、クリスティアーノ・ロナウドの領域である。

 彼らが久保と同年代の時、実はそこまでの選手には見えなかった。「これは凄い選手になるかもしれない」と思わせたのは、20歳を過ぎた頃。ロナウドのほうがほんのわずかに遅かったような気はするが、それはともかく、18歳という年齢は、いまを大事にしなければならない時期なのだ。

 試合ごとにプレーが上昇しているぐらいであってほしい。そこでパラグアイ戦のようなプレーを見せられると辛くなる。楽観視はできなくなる。マックス値をバロンドール級から下げていかざるを得なくなる。無理な招集は避けるべしと、森保監督に言いたくなる。

 メッシもロナウドも、当時はウイングだった。選手としての価値が高いのは中盤系よりアタッカー系だ。久保を「3の右」でプレーさせることには、そうした意味で賛成だ。久保が身につけるべきは突破力。ドリブルを活かした推進力だ。足先で小器用にかわすプレーではない。

 堂安は現在、21歳と3カ月。選手としての評価が9割方確定している年齢だ。ガンバ大阪からフローニンゲンへ移籍したのは2年前。19歳になったタイミングだった。

 今シーズンの頭、FC東京の長谷川健太監督は、久保について「堂安がフローニンゲンへ移籍した当時のレベルに達している」と評していた。2年前、長谷川監督はガンバ大阪の監督だった。堂安をフローニンゲンに送り出し、そして今回、久保をレアル・マドリード経由でマジョルカに送り出しているわけだが、その見立てによれば、2年前の堂安と数カ月前の久保は同レベルだとなる。

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