日本代表23人の妥当性。どこまでベストメンバーは必要なのか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFLO

 1億円を優に超える年俸が保証されている代表監督とは根本的な立場が違うのだ。監督と選手は言ってみれば強者と弱者。森保監督は一見、穏やかで優しそうな顔をしているが、監督という立場を考えるなら、選手から見ればかなり怖い存在なのだ。

 その分、選ぶ側は、選ばれる側に対して配慮が必要になる。順当勝ちが予想される2次予選の間は、特にそうあるべきだと思うが、今回の招集からそうした姿勢は見えなかった。

 岡田武史さんもザッケローニもハリルホジッチも、予選の頭から精鋭部隊を投入した。ところが、その任期の終盤になるにつれて、いずれもチームの状態は悪化していった。ハリルホジッチは解任の憂き目に遭ったが、それに翻弄されることになった選手の苦労はあまり語られていない。

 令和の時代の代表監督は従来と同じではダメだ。メンバーを落としながら勝つという世界のスタンダードを身につけないと新時代は乗り切れない。ベストメンバーだけでなく、新戦力を試していかないと、代表強化は進まない。そのツケは4年間の後半に必ず現れる。同じ轍を踏んではいけない。

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