2019.08.07

「イケるやん」稲本潤一はロシアW杯を見て
1999年の快挙を思い出した

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

 昨年は試合に絡めなかったけど、練習でも成長はできたし、ピッチの上でいろいろな世代とサッカーをするのは楽しい。それに指導者って、現役をやめたらいつでもできる。でも、現役はやめたら、そこで終わりなんで。続けることに意味があると思うし、俺はしがみついてでも(現役で)サッカーをやっていきたいと思っています」

「しがみつく」という言葉が、自然にふっと出る。それほど、稲本はサッカーが好きなのだ。

 そのため、札幌との契約満了後、「(現役で)やれるところがあれば」と、リーグのカテゴリーにもこだわらずに、プレーができるチームを探した。最初にJ3のSC相模原が手を上げ、稲本は即加入を決めた。

「ヤット(遠藤保仁)とか、まだ第一線でプレーしている選手をはじめ、現役を続けている選手はみんな、マジでがんばってほしい。カテゴリーの違いはあるけど、やっぱり現役でやっているのが楽しいからね。ちょっとやそっとのケガでやめてほしくないよね」

 稲本は自らに言い聞かすかのように、そう言った。

 相模原では開幕戦からベンチ入りし、すでに試合出場も果たした。経験豊富なベテランとして、戦力になっているのはもちろん、チームのムード作りにも欠かせない存在となっている。プロ21年目のシーズンは始まっているのだ。

「(現役生活が)長いっちゃ、長いよね(笑)。最初の頃は『35、36歳でやめているやろなぁ』って漠然と思っていたので、まさかここまでやっているとは思わんかった。

 でも、昔に比べたら、トレーニング方法も、サプリメントもかなり変わって、サッカー(選手の)寿命は延びていると思うんですよ。それに、この年齢だからこそ、うまくなることがあるんじゃないかなって思うんでね。まだまだサッカーがうまくなりたいし、サッカーをもっと深く知りたいので、これからも(現役を)やり続けますよ」

 稲本は今後もプレーし続け、そして、現役でやれることを証明してくれるだろう。


「黄金世代」について語る稲本 ワールドユースから20年が経過した今、「黄金世代」と呼ばれた面々は、現在も現役を続ける選手がいる一方で、引退した多くの選手もサッカー界で仕事をしている。彼らは、日本サッカー界にどんな風を吹かせたのだろうか。