国内無敵。最強ベレーザが目指すサッカーは世界最高レベルだ

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 今シーズン最初のタイトルでもある真夏の決戦・なでしこリーグカップ決勝は日テレ・ベレーザがINAC神戸レオネッサを延長戦の末、3-1で退けて2連覇を達成した。

 とはいえ、このタイトル獲得には女王・ベレーザは相当苦しんだ。グループリーグ初戦ではAC長野パルセイロレディースに0-3で敗れ、いきなりの黒星スタート。第3節でもノジマステラ神奈川相模原に負け、前半戦は思うようにゴールを量産できなかった。そこから後半戦で盛り返すと、なんとか決勝にコマを進めた。

強いチームにいても奢ることなく上を見続ける籾木結花強いチームにいても奢ることなく上を見続ける籾木結花 当然と言えば当然だった。FIFA女子ワールドカップに出場するなでしこジャパンに、ベレーザはケガで離脱した植木理子を含めて10名の主軸を5月下旬から送り出していた。さらにケガ人を抱えるなか、下部組織であるメニーナから高校生、中学生まで引き上げてほとんどの試合に臨んでいた。約1カ月間、試合で結果を出しながら、まったく別のチームを作り上げなければならなかったのだ。

 そこで奮闘したのが、代表を外れた有吉佐織、田中美南の2人に、守備の要である岩清水梓ら経験値の高い選手たちだった。日々の練習ですら人数が不足してしまい、14、15人で回さなければならない。1試合1試合、取り組むべき課題を明確にしてチームを成長させていき、ようやく若手がフィットし始めた頃、ワールドカップをベスト16で終えた代表組が戻ってきた。それでも、状況が急に好転する訳ではなかった。

「(ワールドカップは)精神的にもタフ(な戦い)で、さらに結果も出なかったことで選手にはいろんな思いもあったでしょう。ケガ持ちの選手もいたり、暑さも伴い、戻ってきて一緒に練習をしても、なかなかメニーナの選手が入っていたときのようなサッカーができずに停滞した」と、そのときの苦しさを吐露したのは永田雅人監督だ。

 指揮官の目にも代表組の心身の疲弊は明らかだったため、まずはコンディションを上げることに尽力した。そして、若い選手たちが奮闘した流れを途絶えさせずにつないだ結果の決勝進出だった。

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