2019.08.06

稲本潤一が衝撃を受けた、
天才・小野伸二と「別格だった」中田英寿

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

 しかしスペインは、そうした勢いと自信を持ったチームでも、まったく歯が立たなかった。後半から出場した稲本も、世界との差を強烈に体に刻み込まれた。

「スペインとは、勢いだけじゃあどうにもならない大きな差があった。ゲーム運び、個人のスキル、それまでのチームとは全然違ったね。俺、結構調子がよくて、がっつりボールを取りにいったけど、まったく取れへんかったからね。それまで、Jリーグではもちろん、世代別の代表の試合とかでも、そんなことはなかった。ほんまに『スペイン、すごいな』って思った」

スペインとは大きな差があったという稲本。photo by Yanagawa Go スペインには0-4と惨敗を喫したものの、日本はFIFAの公式大会において当時の日本サッカー史上最高の2位という結果を残した。ただ、選手たちの表情はさまざまだった。全7試合を戦って、その結果に満足している選手、決勝で負けた悔しさを露わにする選手......。

 そんななか、稲本はほとんど表情を変えずにピッチに立っていた。

「決勝であれだけボコボコにされたんでね。満足できていない選手のほうが多かったと思う。自分もずっとレギュラーで試合に出ていたら、多少は充実感もあったと思うけど、ほとんど試合に出ていないからね。まあ、チームにいられて楽しかったけど、ただ『準優勝したチームにおった』という感じ。充実感とかはなかったね」

 膝のケガの影響が大きく、稲本のワールドユースは途中出場3試合に終わった。予選まではチームの主力で、大会前のブルキナファソ遠征ではキャプテンも務めていただけに、思い描いたプレーができず、悔しさは人一倍大きく膨らんでいたことは、容易に察することができる。

 それでもスペインのおかげで、稲本は"大きな財産"を得ることができた。

「大会を通して、世界での勝ち方とか学べたけど、個人的にはスペインとやって、世界との差を実感できたことがすごく大きかった。スペインのレベルはほんまに高くて、この差は『リーガ・エスパニョーラとJリーグの差やな』って思った。そして、スペインに追いつくにはどうしたらいいのか、その時に初めて海外を意識したし、『海外に行こう』という気持ちになった」