女子サッカー選手が描く新しい地図。
未来のための「なでしこケア」

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 そしてもうひとつ、大切なブランディングの面でもFIFAマスターで得た知識が大いに役立ったという。

「前は企業のミッションとかビジョンとか気にしたこともなかった。でも、この企業はこういう想いがあって、こういうビジョンを掲げてるんだってすごく気にするようになりました。ブランディングのところは、なでケアとしてどんなビジョンを持っていくのか、ミッションはなんなのかっていうところ、そこがブレないように、関わってくれる人もそうですし、選手もそこをしっかりと共有していかないといけないと思っています」

 このビジョンを貫くためには、選手たちの自主性、自立性を育まなければならない。その点でも大滝はいくつかアイデアを持っている。

「年に10回程度の選手向けのワークショップを考えています。以前のワークショップでもすごく難しく考えている選手も多かったんです。それを明確に理解するには、ワークショップだけでなく実践も大事。そこで女子サッカーの普及の取り組みを提案しようと思っています。サッカースクールなど、選手たちは楽しそうにやってますよね。でも、その意味を理解すれば、取り組み方も変わってくるはずです。合わせて『難病の子どもとその家族へ夢を』と協力した活動も積極的にやっていきたいですね」

 受け身だったこれまでの選手の姿勢を根本的に変え、自立することで自身の価値を理解していくこと、人生のキャリアを充実させる場所を作ること――。長期的な取り組みになるが、継続することに意義がある。多くの選手が賛同することでムーブメントは起きる。それを絶やすことなくつなげていけば、女子サッカーが"文化"として受け入れられている環境が必ず訪れるだろう。

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