2019.07.08

黄金世代・石川竜也は
小野伸二のひと言で貴重なゴールを決めた

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Masabu

「決勝トーナメントの1回戦って、すごく難しいんです。しかもポルトガルは個の能力が高くて、本当に強かった。グループリーグとは違うレベルの高さを感じましたね。最後はPK戦までもつれたけど、南(雄太)が止めてくれると信じていました。同じ静岡県出身なので、昔から南のPK戦での強さを知っていたんです。その南が止めてくれて、ポルトガルに勝った。次のメキシコに勝ってこのまま行けるという思いが強くなって、ウルグアイにも勝った。決勝でのスペイン戦がすごく楽しみでした」
 
 チームは、ついに王手をかけた。

 このチームの主力である小野は、大会前から「優勝」を目標にし、「歴史を作る」と公言してきた。もちろん、全員が最初からそう考えていたわけではないだろう。だが、チームが勝ち進むにつれ、優勝の機運が高まっていった。石川は自分自身の考えに変化が生じ、大会前とは異なるムードをチームに感じていたという。

「グループリーグの頃は、まだ優勝のイメージを持っていなかったですね。でも、勝ち進むにつれて(現地の)環境にも慣れてきて、優勝の現実味も増してきて、自分も含めてみんなが『優勝したい』と強く思うようになりました。そうやって、チームがひとつになっていった。それがチームの成長だろうし、まとまりだと思います」

 決勝に至るまで、チームは苦しみながら勝ち進んでいったが、石川個人にとっては厳しい戦いを強いられていたという。環境面、とりわけ食事がなかなかフィットしなかったのだ。そのため、決勝の頃には開幕から4キロも体重が落ちていた。

「食事だけは苦労しましたね。日本食とかも出ていたんですが、『こんなもん食っているから負けるんだ。現地のものを食え』とトルシエに言われて。それは大会前までだと思うんですよ。本番はしっかりしたものを食べないと動けなくなる。現地で中華料理を食べた時はほんと幸せを感じましたからね。ナイジェリアを経験したあとは、多少のことではビクともしなくなりました」