U‐18代表コーチが気づいた「日本と欧州の育成年代の選手の違い」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Newspix.pl/AFLO

――U‐18リスボン国際トーナメントは2連敗でしたが、選手たちはどんな様子でしたか。

「帰国前日に、ひとりひとりと面談したんです。『すごく悔しかった』というのが選手たちの率直な印象のようでした。今回の相手(ポルトガル、ノルウェー)は、これまでやってきたUAE遠征、スペイン遠征の時とは違い、手応えのあるプレーがあったからこその悔しさだと思います。

 たとえば、ポルトガルの11番(ジャイル・タヴァレス。日本戦で2得点。バイエルン所属のレナト・サンチェスの従兄弟)みたいなプレーは難しいけど、サイドバックとCBでワンツーでかわすとか、プレスにきている相手を、正確なインサイドのボレーではずして逆に展開するとか、ワンプレー、ワンプレーはひとつも難しくないし、できたと思うんです。でも、それをゲームでどう表現するか、ミスなくプレーするか、そこにはすごい差があると、選手たちは感じたはずです。

 選手たちは、『自分はどうすればいいですか』とか『誰から受ければいいですか』と聞いてくるけど、相手はどういう状況なのかというイメージが抜けている。相手にとっていやなこととして、何を選んでいくのかが大切です。だから、状況説明をさせて、初めて『こうだったんじゃない?』と返したり、一緒に考えたりすることができる。状況を考えられないと、結局、攻め急いで失う。受け手が動いただけで、相手にとっては苦しくもないのに長いボールを蹴っちゃって失うとか。相手がいるなかで選択肢を増やすことに課題があったかなと思います」

――相手がいると、できることが変わってしまうんですね?

「ポルトガル戦とノルウェー戦の間に、クラブチームと練習試合があったんです。そういうときにはいいところが出せていたんです。でも、いいポジションを取られるとボールを出しづらいとか、普段だったらまっすぐしか来られないところでパスコースを切られて、さらに寄せられて相手に詰められるとか、ちょっとしたことだけど、その差が大きいのは相変わらずなんですよね。

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