スペインの慧眼が森保Jを激励。「不安定さはあるが胸を張って前進を」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Watanabe Koji

 前半15分の先制点は、まさにそれが結実した。我慢強くボールをつなぎ、久保が中盤に落ち、ボールを受けて前を向く。中島がそのパスを受け、鋭い動きで裏を走る岡崎慎司(レスター)へ。そのボールは飛び出したGKにクリアされたものの、再び拾った中島が押し込んだ」

 エチャリはそう言って、先制点への流れを称賛した。その一方で、戦いの不安定さも見逃さなかった。

「日本はエクアドルのプレッシングに苦しみ、自陣内で何度もボールを失っている。22分にはGK川島永嗣(ストラスブール)の軽率なパスミスを奪われ、シュートを浴びたが、川島自身がどうにか捕球した。25分にはバックラインに下がった柴崎が冨安健洋(シント・トロイデン)へボールをつけた後、そのリターンを奪われ、ピンチを迎えている。最初に柴崎が下げたボールは、強いプレスを受けるのが明白だったし、ボールを受けた冨安も囲まれていた。ボールをつなぐ、というプレーを狙われた格好だ。

 ここで特記すべきは、エクアドルが攻防で、高さのメリットを生かしていた点だろう。彼らは積極的なプレスを仕掛け、日本にボールを蹴らせたら有利な状況だった。なぜなら、高さで跳ね返すことができたからだ。また、自分たちがプレスを浴びても、無理と思ったらつながず、長いボールを使って高さで打開できる利点を持っていた。

 たとえば27分、日本は練度の高いプレスを駆使し、エクアドルの攻撃を見事に押し下げている。ところが、単純なロングボールを蹴られると、まず冨安が対応しきれず、クロスを折り返され、逆サイドにいた岩田智輝(大分トリニータ)も空中戦で競り負け、エリア内でシュートまで打たれている」

 エチャリにとって、35分の同点弾は必然だったようだ。

「左CKのあと、右サイドから逆サイドに上がったクロスだった。エリア内に戻っていた岩田、三好康児(横浜F・マリノス)の2人は、続けて正しく対応できていない。アンヘル・メナには、クロスを胸でトラップされているが、体をぶつけることなどはできたはずで、マーキングの問題があった。そこで打たれたシュートを、一度は川島がすばらしいセービングで止めたが、こぼれ球を詰められた。

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