東京五輪まで1年。なでしこが
W杯での敗戦から学ぶべきこと

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 なでしこジャパンがラウンド16で姿を消したFIFA女子ワールドカップは、終盤に差し掛かっている。決勝はアメリカ対オランダで、3位決定戦はイングランド対スウェーデンに決まった。日本が直接戦ったイングランド、オランダもここまで駒を進めてきた。上位進出国にあって、日本に足りなかったものは何だったのだろうか。

三浦成美(左)と杉田妃和(右)の今後の成長に期待三浦成美(左)と杉田妃和(右)の今後の成長に期待 やはり、ケガ人の多さがチームの戦い方に多大な影響を及ぼしたことは言うまでもない。阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)の調整が遅れていることは、高倉麻子監督も百も承知で、それでもチームに不可欠という判断での招集だった。

 しかし、大会前には植木理子(日テレ・ベレーザ)が離脱、岩渕真奈(INAC神戸)は調整が必要になり、小林里歌子、籾木結花(ともに日テレ・ベレーザ)は、徐々に回復をしていったが、好調を取り戻すまでには至らなかった。

 大会期間中には、宇津木瑠美(シアトル・レインFC)、長谷川唯(日テレ・ベレーザ)と、スタメン起用が視野に入っている選手が次々と故障。"誰が出ても戦力が落ちない"チームを目指していたとはいえ、これだけ主力が欠ければ、練習で紅白戦を組むことすらできない。高倉監督は、さまざまなケースを想定していたはずだが、予想をはるかに超える厳しい現状であったことは事実だ。

 そんななか戦った4試合では、勝利につながる決定機も幾度かあった。しかし、それをモノにできたのは唯一勝利したグループステージ第2戦のスコットランド戦のみ。負けが許されないラウンド16でも、オランダを相手に岩渕をはじめ、菅澤優衣香(浦和レッズレディース)、長谷川、籾木結花(日テレ・ベレーザ)、杉田妃和(INAC神戸)と、チャンスはあった。

 それでもその決定機を逃し続けたことで、最終的にはオランダが勝利を引き寄せた。決定力で、世界との差を見せつけられた格好だ。

 世界大会では、簡単にシュートを打たせてもらえない。なでしこリーグで世界レベルを意識せずにゴールを目指していては、この球際の感覚はなかなか養えないだろう。日々の習で、どれだけ海外選手を相手にプレーする感覚を落とし込めるか、そこは選手次第だ。

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