森保Jの構造は不安定。見せ場は作っても日本ペースは作れない (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFLO

 彼らがいかにいいプレーを見せても、日本はチームとして試合をコントロールすることができなかった。主導権を握れず、半ば撃ち合いの様相を呈しながら、試合が慌ただしく推移していった原因だ。むしろ、エクアドルのパスワークの方が戦略的だった。日本が嫌がりそうな場所にボールを意図的に運ぼうとしていた。

 杉岡大暉(左/湘南ベルマーレ)、岩田智輝(右/大分トリニータ)の両SBと、4-2-3-1の「3」の左右が、連係プレーを発揮するというシーンは少なかった。特に左サイドの杉岡と中島の関係は最悪で、パス交換はもちろん、意思の疎通さえ見て取れなかった。

 4-2-3-1の「3」が、後方の選手を接着していないサッカー。連動していないサッカーだ。ピッチ全体にボールが広く回らないので、遅攻がうまくできない。パス回しの不安定さは目に余った。競り合いの弱さ、球際の弱さを指摘する声もあるが、それはパスワークと展開が乱れていることと大きな関係がある。

 この環境のなかでプレーしていると伸びない。三好、久保、中島には、逆にそう言いたくなる。それぞれ、いるべき場所にいることが少なすぎる。ポジションの概念が不足しているのだ。中島のポジションは左なのに、どうして中にばかり入り込むのか。実際、エクアドルはそこを突いてきた。右SBペドロ・ベラスコが中島の背後に入り込み、数的有利な状況を幾度となく作っていた。そのあたりのポジショニングを改善していかないと、欧州の一流クラブでプレーすることは難しい。

 荒っぽい試合をしたなという印象だ。3戦とも似たようなサッカーをした。4-2-3-1の「3」は確かに日本の生命線かもしれない。だが、チームのなかにその3が、きれいに意図を持って収まっているようには見えない。よくも悪くも"暴れた"状態にある。

 森保監督はそこにどう手を加えるか。日本代表は完成形にはほど遠い。



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