2019.06.24

遠藤保仁が黄金世代のライバルを語る
「追い抜いてやろうと思っていた」

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 牛島 寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

「俺らの世代は、人に負けたくないという気持ちがとても強かった。俺も試合に出たいと思うけど、チーム内にはイナ、酒井(友之)、(中田)浩二、(小笠原)満男がいて、代表に行っても試合に出られないのがしょっちゅうだった。それを超えていかないといけないって思っていたし、ワールドユース中もみんなに負けたくないという気持ちがすごく強かった。終わってからはさらに強くなったね」

 チームメイトは仲間だが、強力なライバルでもあった。そう思えるのは、お互いの良さと違いを知り、実力が拮抗していたからでもあろう。ただ、遠藤がチームメイトの中でひとりだけ別格だと感じていた選手がいた。それが、小野だった。

「伸二は、実績、実力、人気ともにズバ抜けていた。高校のときから注目されていて、(浦和)レッズに入ってW杯にも出場して、順調にステップアップしていた。キャプテンシーもあって、非の打ちどころのない選手やった。でも、どこかで追い抜いてやろうという思いもあったね。直接的なライバルはイナや浩二だったけど、結局みんなよりもいいパフォーマンスを見せないと試合に出られないというのは一緒なんでね」

ワールドユースでは視野の広さを活かし、ボールをさばきまくった遠藤 photo by Yanagawa Goワールドユースでは視野の広さを活かし、ボールをさばきまくった遠藤 photo by Yanagawa Go  ボランチで言えば、遠藤は稲本や中田、小笠原、酒井との競争になるが、面白いのはそれぞれタイプが違うことだ。たとえば稲本は体の強さを活かしてボールを奪い取り、前への推進力があるタイプ。遠藤は守備に不安があったが、攻撃面でのアイデアが豊富で、技術が高く、視野が広かった。ワールドユースではその能力を最大限に活かし、ボールを前後左右にさばいてリズムを作った。

「あのポジションで、あれだけのメンバーが前にいれば、そうなるよね。俺のところで別に難しくする必要はないでしょ。ブスケツ(バルセロナ)みたいにワンタッチ、ツータッチでどんどん回していく。よくさばいたなって思うもん(笑)。ワールドユース以降、自分がボールを持って攻撃の形を作るようになっていったけど、それは、みんながボールを付けて俺を経由するんで、そこでアクセントを加える感じになったから。守備的なボランチが1人入るようになったんで、そのボランチよりもひとつ前でプレーするようになったのも大きかった。でも、今、またワンボランチをやれって言われたら、ワールドユースのときのプレーに戻るだろうね」

 ワールドユースで配給役をこなせたのは、技術が高いのももちろんだが、個性が強い攻撃陣にあって「自分が」という我を抑えられる遠藤だからこそできたともいえる。