称えられるべきウルグアイ戦。だが森保監督の言葉は鵜呑みにできない (4ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Watanabe Koji

 この試合、日本が前半で記録したクロスは計8本(後半3本)。チリ戦の前半が1本(後半6本)だったことを考えると、改善された点のひとつだ。それは、サイドの選手(三好、中島翔哉)がワイドにポジションをとってプレーしたことで生まれた。

 サイドの選手が横幅をとれば、相手の守備網も横に広がりパスコースが生まれる。当然縦パスの本数は、前半で5本だったチリ戦と比べ、前半だけで20本に増加した。たしかに相手の守備対応がうまく多くのチャンスを作れなかったこと、防戦一方だった後半は3本に激減したことは事実だが、少なくとも初戦との違いは明白だった。

 同時にそれは、守備面でも変化をもたらしていた。サイド攻撃を再三許したチリ戦の問題点を考えれば、こちらのほうが重要だ。顕著だったのは、守備時における中島のポジショニングだ。チリ戦では相手ボールになっても前線に残ったままだった中島が、この試合ではほとんどのケースで杉岡大暉の前まで戻って4-4-2のブロックに加わっていた。また、右の三好も守備時には2列目右サイドで構えた。

 しかし、その問題が完全に解決されていたかといえば、そうではなかった。いくつかのシーンにおいて、次の試合に向けて守備戦術の修正を図らなければならない点が浮上している。それが、相手のカウンターアタックを受けたとき、あるいは縦に速い攻撃を受けたときの左サイドの守備対応だ。

 前半8分、13分、16分、18分に迎えたピンチは、ウルグアイの素早い縦攻撃から日本の左サイドを破られたシーンである。それぞれシチュエーションは異なるが、いずれのシーンにおいても、中島はディフェンスに戻れていない。

 とはいえ、中島を生かすには、常に守備を考えてポジショニングさせても意味はない。彼が持つ特別な能力を半減させるからだ。問題は、彼が戻れない場合の対応を、チーム戦術として整理できていない点にある。

 たとえばレアル・マドリードの場合、左サイドバックのマルセロが前線に攻め残ったときに左のスペースを突かれたら、左センターバックのセルヒオ・ラモスがスライドしてそのスペースを埋め、アンカーのカゼミーロが中央に落ちてセルヒオ・ラモスが空けたスペースを埋めるという守備方法で対応する。

 日本の場合、中島はマルセロより1列前のポジションなので、ダブルボランチが横にスライドし、逆サイドウイングが下がりながら内に絞る方法もある。重要なことは、チームとして中島が攻め残りしたときの守備対応を整理しておくことだ。これは、次のエクアドル戦に向けた重要な修正ポイントになる。

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