称えられるべきウルグアイ戦。
だが森保監督の言葉は鵜呑みにできない

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Watanabe Koji

 その一方で、この6人のスタメン起用がチリ戦の反省に基づいた修正点かといえば、必ずしもそうとは言えない。なぜなら森保監督は、公式戦のアジアカップを除き、親善試合ではAチームとBチームに分けて2試合を戦う傾向があるからだ。

 2チームに分けないながらも、本来公式戦であるはずのコパ・アメリカでスタメンの大幅入れ替えを行った意味。じつはそこに、今大会に臨む森保監督の本当の目的が見て取れる。

 大会前に「参加するからには優勝を狙う」と口にした森保監督ではあるが、仮にそれが本心だとすれば、同じくハードな試合スケジュールだったアジアカップのように、少なくともグループ初戦と2戦目はスタメンを固定して戦うはずだ。

 しかし、今回はそうではないことが2戦目ではっきりした。たしかに今大会の目的のひとつに勝利は含まれているものの、その割合は半分以下。どちらかといえば、東京五輪世代のチーム強化の場にしたいという部分が半分以上。スタメンの入れ替え人数は、今大会に臨む指揮官の本心を数字で表わしているようにも見える。それは、ここまで2試合の采配ぶりにも大方一致する。

 そんななか、初戦のエクアドル戦のスタメンから負傷したベシーノ1枚のみを変更したウルグアイに対し、日本は立ち上がりから積極的な攻撃を仕掛けた。前線4枚にフレッシュな選手がプレーしていた影響もあるが、チリ戦と比べて攻撃面における明らかな変化も見られた。

 それは、両ウイングが横幅をとって、何度もサイドからの攻撃を仕掛けていた点だ。たとえば開始3分、柴崎岳の縦パスを右サイドで受けた三好がクロスを入れ、ニアで岡崎が合わせたシーンはその典型だ。また、25分の先制ゴールのシーンも、柴崎が右サイドでフリーになっていた三好に絶妙なロングパスをつなぎ、そこから三好のドリブルシュートが決まっている。

 もっとも、このシーンでは柴崎のロングパスの直前にあったウルグアイのコーナーキック後、左サイドバックのラクサールが臀部を痛めたことが幸いしたことも付け加えておく必要がある。三好がシュートを放つ直前、ラクサールが体を寄せられずに動きを止めて座り込んでしまったことは、ニアを射抜いたシュートに少なからず影響したことは間違いない。

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