トゥーロン国際決勝進出。U22代表で見る
森保式3バックと日本の相性

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by MEXSPORT/AFLO

 先のトリニダード・トバゴ戦、エルサルバドル戦で、3バック(3-4-2-1)の採用に踏み切った森保ジャパン。サッカーの方法論がAとBのふたつに限られるとすれば、これはAからBに移行したようなもの。心変わりに相当する。欧州だったらその是非についていま、激しい論戦が展開されているに違いない。

 とは言え、トリニダード・トバゴ戦及びエルサルバドル戦は、相手との間に力量差がありすぎたため、是非を語るに相応しい題材とは言えなかった。森保式3バックの特徴が露わになるシーンは少なかった。サンプルを別に求めるなら、現在、トゥーロン国際大会に参加しているU-22代表チームの方が適している。
 
 東京五輪を目指すU-22では、森保式3バックの採用はとうの昔から定番化している。森保一監督が兼任監督として臨んだ2018年のアジア大会。そして横内昭展コーチが監督代行として臨んだ多くの試合が3-4-2-1だった。トゥーロン国際もしかり。U-22のメンバーが主体となるコパ・アメリカ、さらには東京五輪も、森保式3バックが採用されそうなムードだ。

 トゥーロン国際大会準決勝。相手はメキシコだった。大柄ではない選手がパスをつなごうとする点で日本とは共通するが、サッカーの国力では一歩先を行く存在だ。W杯でコンスタントにベスト16を狙う力がある中堅国である。

トゥーロン国際大会準決勝でPK戦の末にメキシコを下したU-22日本代表トゥーロン国際大会準決勝でPK戦の末にメキシコを下したU-22日本代表 だが、この試合に臨んだメキシコチームはけっして強くなかった。うまいという印象もなく、60対40で日本が有利に見えた。終了間際に日本が2-2に追いつき、PK戦にもつれ込む展開は苦戦、不本意と言うべきだろう。

 その原因をすべて森保式3バックに求めるつもりはないが、相手とうまく噛み合っていなかったことは事実だ。

 その3-4-2-1と、オーソドックスな4バック(4-4-2、4-2-3-1、4-3-3)との違いは以下のとおりだ。

 3-4-2-1は、センターバックの枚数が1枚多く、サイドアの枚数が両サイドそれぞれ1枚(計2枚)少ない。そして余った1枚分が1トップ下に行く。トップ下が1枚から2枚になり、俗に2シャドーと呼ばれる陣形になる。

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