2019.06.12

「なでしこらしさ」はどこへ。
いま必要なのはスムーズな切り替えだ

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 絶妙なコントロールで好機が生まれたのは50分。長谷川からのパスを受けた横山は、もっとも体に近い位置にボールを置いてターン、そこからミドルシュートを狙った。GKが弾いたところを菅澤が詰める。ゴールにはならなかったが、ファーストタッチでボールが収まれば、得点に近づくことを証明した。アルゼンチンの守備網を破れなかった要因は、日本攻撃陣のフィニッシュに持ち込むまでの最後の精度だったと言える。

 アルゼンチンは攻撃をカウンターのみに絞り、残る力のすべてをゴール前での守備に注ぎ込んでいた。日本はそれを最後まで崩すことができなかった。この試合を簡潔にまとめると、そうなる。ただそこには、3度目のワールドカップで初の勝ち点を得ようと、戦術を明快かつ強固なものにしてそれを最後まで貫いたアルゼンチンの執念と大健闘があり、日本の多彩なパスを駆使した攻撃力は、それを上回ることができなかったということだ。

 アルゼンチンのカウンターを危なげなく処理していた日本の最終ラインは、安定感を増してきているが、初戦を分けたことで、決勝トーナメント進出に向けて残り2戦は厳しい戦いになる。

 次のスコットランド戦は、攻撃的に出ることで守備面のリスクもあるが、そこは十分に対策を練ってきた。アルゼンチン戦より攻守の切り替えがスムーズにできれば、攻撃陣もよさを出しやすいはず。気持ちを切り替え、勝利を掴むしかない。

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