久保建英が衝撃デビュー。代表でも技術と賢さで観客&先輩を魅了した (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「持っているものを考えれば、あいつはそんなに満足いってないんじゃないですかね。でも、少ない時間のなかで得点チャンスを作っていたし、僕が言うのもなんですけど、すごくいい選手だと思います」(昌子源/トゥールーズ)

 一方で久保は、先輩たちへの感謝の想いを忘れない。

「みんな気を遣ってくれるというか、小林(祐希/ヘーレンフェーン)選手とか何度もいいパスをくれて、冨安(健洋/シント・トロイデン)選手もパスをくれて、気持ちよくプレーさせてくれる意図を感じました。ただ、そうやって助けてもらえるのはすごくいいことだと思いますけど、そういうことに甘えず、自分の力だけでいいプレーを出せるようにがんばるだけかなと思います」

 日本代表の歴史を振り返れば、常に象徴的な存在がチームを支えてきた。三浦知良をはじめ、中田英寿、中村俊輔、本田圭佑、香川真司らがエースの系譜を紡いできた。

 しかし、本田が代表から去り、香川はワールドカップ以降、輝きを取り戻せていない。森保体制発足後は、中島翔哉、南野拓実、堂安律(フローニンゲン)の3人が新たなエース候補として台頭してきたが、可能性は示しながらも、まだまだ絶対的な存在とはなりえていない。

 次代の日本代表を牽引するのは誰か――。多くのファンにとっての関心事だろう。まだプロとしてのキャリアを歩み始めたばかりのティーンエージャーに、それを期待するのは尚早かもしれない。それでも極上の23分間を演じた18歳がその候補者であることは、もはや疑いようのない事実である。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る