久保建英が衝撃デビュー。代表でも技術と賢さで観客&先輩を魅了した (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 73分、大迫勇也(ブレーメン)からのスルーパスに抜け出すと、巧みなタッチでDFふたりをかわして、強烈なフィニッシュをお見舞いする。「最後のキックのところで上を狙っていたのに、下に行っちゃったので」と振り返ったように、イメージとは異なったシュートは相手GKに阻まれたものの、この一撃は十分なインパクトを与えた。

 その後も、絶妙なスルーパスで味方を走らせ、身体ごとクロスに飛び込むゴールへの執念も見せつけた。83分には単独でのボール奪取を成功させ、焦った相手に倒されてイエローカードを誘発させている。

 攻守両面で躍動する久保のプレーに、観衆は瞬く間に虜になっているようだった。ボールに触れるたびに、「ウォー!」という歓声が沸き起こる。何かをやってくれそうな期待感が、スタジアム中を包み込んでいた。

 そして最終盤には大迫、中島翔哉(アル・ドゥハイル)との連係でビッグチャンスを創出。このプレーで得たFKは中島に譲ったが、「俺が(ファウルを)もらっていたら、俺が蹴っていました」と、チャンスさえあればキッカーに名乗り出ていたと、強気な一面も示している。

 結果的にゴールに絡むことはできなかったが、限られたプレー時間のなかで、久保は多くのチャンスを生み出した。史上2番目の若さで代表デビューを飾った18歳のアタッカーは、間違いなくこの試合で日本代表の一員として認められただろう。

「伸び伸びと自分の特徴を生かしてプレーしてくれたと思いますし、周りの選手ともスムーズに連係・連動できる、彼の持っている技術や賢さという部分は出ていたと思います」

 森保監督は久保のパフォーマンスを手放しで称賛した。

 チームメイトから賛辞の言葉も相次いだ。

「いや、もうドラえもんみたいだなと(笑)。アイテムとか引き出しが多すぎて、何を出すかわからない。最近はフィジカル能力も高くなってきているし、久しぶりにバケモンが出てきたなって思います」(長友佑都/ガラタサライ)

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