2019.06.07

久保建英への「配慮」は必要か。
代表デビューのタイミングを占う

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 牛島寿人●写真 photo by Ushijima Hisato

 ただし、たとえばバルサからの獲得の打診は、あくまでBチームからのものだった。実情は、他のクラブも似たような条件だろう。ブラジルの至宝と言われたヴィニシウス・ジュニオールも、レアル・マドリードではBチームからのスタートだった。アルゼンチン代表リオネル・メッシやクロアチア代表ルカ・モドリッチなどと同格の選手になるには、まだ道のりは遠い。

<1シーズン、プロリーグを戦った経験のない18歳>

 それもひとつの真実である。

 しかし、英雄的選手は、一般の人が押し流されるような熱に浮かれず、それを力に換えられると言われる。生来的スターの強靭な精神力というのか。周りと関係なく、自らの力をたのみにできるのだ。

「クリスティアーノ(・ロナウド)は、必ず成功するという強い意志を持っていた」

 筆者はポルトガル代表FW、クリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)の原点を取材しに、大西洋に浮かぶマデイラ島を訪れたことがある。そこで、ロナウドと同年代で本土のリスボンに渡った元サッカー選手が話していたことがあった。

「島から出た多くの選手は、ホームシックにかかってしまう。生活スタイルがまるで違うから。そこで少し成功し、すぐに満足し、今度は先に進むのに重圧を感じる。それで17、18歳で多くが島に戻る。自分もそうだった。でも、クリスティアーノは違った。常に一番であることを求め、そのための努力をしていた。ピッチに立てなかったら怒る。その道を妨げられるのを嫌い、いつも戦っていたよ」

 FC東京のチームメイトたちから伝え聞く久保像は、野心と純粋さが入り混じる。曲がったことは嫌いだという、彼なりの正義がある。サッカーに関しては、絶対的な自信を持っている。それは16歳で入団した初日からだったという。まったく物怖じするところはない。

 勝負へのこだわりとサッカーへの一途さは、久保の才能だ。

「久保はこれからA代表でプレーできるはず。彼の成長と使い方がマッチするように、ベストのタイミングを探っていきたいと思っています」