長友佑都が一人四役で攻守に貢献。
「ウイングバックは脳が疲れる」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「前にプレッシャーをかけるのか、後ろに下がるのか、相手を混乱させるポジショニングを取るのか、というのを考えながらやっていたので、脳が疲れましたよ。4バックだとわかりやすいんですけどね。ウイングバックはとにかく頭を使わないとチーム全体が狂うんで、本当に難しいですよ」

 状況を見極め、思考をめぐらせ、その時々に見合ったプレーを判断する。やり慣れないポジションで、いかにチームを機能させていくのか。長友はその最適解を探しながら、ピッチを走り続けていたのだ。

 その考えるプレーの根底を、長友は「経験」という言葉で表現する。

「僕もいろいろ経験させてもらったんでね。どのポジションを取れば彼(中島)が楽になるのか、逆に自分自身が生きるのかっていうことを常に考えながらやっていました。すべては経験かなと思います。若い時だとガンガン行くだけ行って、全部裏を取られていたと思いますよ」

 このトリニダード・トバゴ戦のピッチに立ったことで、長友の日本代表のキャップ数は117を数え、歴代3位となった。若手の台頭が著しい森保ジャパンにとって、その経験値は代えがたい財産だろう。

 もっとも、今年で33歳のダイナモは、いまだ進化の歩みを止めようとはしない。

「1位じゃないんで、全然うれしくないですよ。ヤットさん(遠藤保仁)は152ですよね。遠いなぁと。でも、やるからには目指したいなと思います」

 どこまでも貪欲な小さな巨人は、まだまだ日本代表にとって不可欠な男である。

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