長友佑都が一人四役で攻守に貢献。「ウイングバックは脳が疲れる」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ともに経験豊富なふたりではあるが、普段プレーするサイドバックとは異なる役割を、いかにこなしていくのか。とりわけ、チーム最年長の長友がこの過酷なポジションで、どこまでパフォーマンスを保てるのか。個人的には、そのポイントに焦点を当てていた。

 やはり、経験がモノをいうのだろう。長友は慣れない役割にも、スムーズに対応していたように見えた。マイボールとなれば高い位置に顔を出し、ウイングさながらの仕掛けを見せる。相手ボールとなれば、鋭いスプリントで自陣に戻り、最終ラインに組み込まれて5バックを形成。79分に交代するまで、衰え知らずの運動量で激しいアップダウンを繰り返した。

 長友が意識していたのは、左サイドでコンビを組む中島翔哉(アル・ドゥハイル)との関係性だ。中島がボールを持てば大外から飛び出し、スルーパスの受け手となる。あるいは、その動きで相手をつり出し、中島が中に切れ込める状況を生み出した。

「僕のポジションは、相手のサイドバックに僕自身を気にさせて、(中島)翔哉をフリーにさせるところがまず大事なこと。翔哉が打開してシュートまで持ち込むシーンは、何度か作れたんじゃないかなと思いますね」

 チーム最多の7本のシュートを放った中島が果敢にゴールに迫れた背景には、長友の"無駄走り"という献身があったのだ。

 一方で長友は、後方支援に徹していたわけではない。自らがエリア内に侵入し、ボールを引き出す役割も担う。あるいは、逆サイドからのクロスに合わせる"ストライカー"としての動きさえ見せていた。交代直前には、室屋成(FC東京)のクロスをヘディングで合わせるシーンもあった。

 おとりとなり、クロスの供給者となり、スルーパスやクロスの受け手ともなる――。もちろん、守備でも手を抜くことなく、長友は一人二役ならぬ、三役も四役もこなしていたのである。

 もっとも、さまざまな役割を担った長友は、身体的な部分よりも、「脳が疲れた」と振り返る。

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